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日本の若者はなぜハロウィンに熱狂するのか?

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

若者の価値観の変化がハロウィンを盛り上げる。

ますます盛り上がるハロウィン。経済効果も年々うなぎ登りで、日本記念日協会の推計では2016年のハロウィン経済効果は前年比10%増の約1345億円だそうだ。これは1340億円と推計されるバレンタイン・デーを上回る。2012年以降の推計市場規模の推移は、2012年・約805億円 2013年・約1005億円 2014年・約1100億円  2015年・約1220億円 2016年・約1345億円。ざっと年平均10%くらいの伸びである。

しかし、なぜ、日本でこれほどまでハロウィンが盛り上がっているのか? 特に若者が熱狂しているのか? 日本でハロウィンがイベントとして盛り上がってきたのは、せいぜいここ10年程度のことだと思うが、なぜ近年、ここまで盛り上がっているのか?

その点については多くの人が分析をしている。その中でも多いのがSNSの普及だとする説だ。SNS、特にFBやインスタグラムはリア充自慢のメディアだと言える。ある意味、多くの人はSNSに自慢できるネタ、「いいね!」をもらえるネタを投稿するために生きているといっても過言ではない。

そんな時代の中、ハロウィンはSNSに投稿するネタ作りには格好のイベントだというわけだ。

この説はある程度は説得力あると思う。SNSの普及がハロウィン人気を後押ししていることは確かだろう。Facebookが日本に上陸したのが2008年。その頃からハロウィンも盛り上がりを見せてきたように思える。

しかし、SNSの普及だけでは説明が不十分だ。FBで自慢できるネタはハロウィンだけではない。素敵なレストランでのランチとか、マニア向けのラーメン屋で食すラーメンとか、夏休みに滞在しているリゾート・ホテルとか、娘の手料理とか、自慢できるネタは他にもたくさんある。

このような自慢ネタはSNSでも多くの「いいね!」がつく傾向があるが、だからといってハロウィンのようにイベント的に盛り上がるわけでもない。僕自身もFBで「娘と食事してる写真」を投稿すれば「いいね!」が跳ね上げあるが、だからといって仮に父の日にイオンなどのスーパーが「お父さんに手料理を作ろう」とか、レストランが「お父さんにディナーをプレゼント!」みたいなプロモーションを行っても、たぶんたいして盛り上がらない。

SNSとかコスプレが一般化したとかはハロウィン・ブームの要因のひとつだが、これほどまでの盛り上げ理を見せるには、もっと大きな、今の若者に共通の、底流となる価値観の変化があるはずだ。それはなに?

ハロウィンは仲間で楽しめるイベント

今の若者の底流にある基本的な価値観は「仲間」だ。そして、ハロウィンは仲間が一緒に盛り上がるに適したイベントだ。だから、ハロウィンは盛り上がる。

そういうと、今の若者は「当たり前じゃないか」と思うだろう。イベントだから仲間と盛り上がるのは当然ではないかと感じるだろう。しかし、そうではない。

たとえばバブル時代の、若者の最大のイベントとはクリスマス・イブだった。

今の若者も当時のクリスマスの話はオヤジどもから聞いたことがあるかと思うが、とにかく当時のクリスマスの盛り上がりは凄かった。

クリスマス・イブの夜に恋人と過ごせない若者は完全な負け組。若者にあらずといった空気感で、いまのようにクリスマスに女子会などあり得なかった時代だから、イブの夜をひとりで過ごさないためにも、12月になっても恋人のいない男女(特に女子)はイブの夜までに恋人を作ることに必死だった。

イブの夜はホテルもレストランも若者たちの予約でいっぱいで、夜景のキレイなスポットは恋人たちで溢れかえり、スキー場のゲレンデもカップルだらけ。

学生でさえ彼女にティファニーのオープン・ハートやカルチエの三連リングをプレゼントするために何ヶ月もバイトしてお金を貯めていた。素敵なホテルやレストランをイブの夜に予約するために、男子は何ヶ月も前から必死になって電話をかけまくっていた。

今のハロウィン以上の狂想曲。それが当時のクリスマスだったわけだが、クリスマスはあくまで恋人たちのためのイベントであり、仲間で盛り上がるためのイベントではなかった。たぶん、その頃に仲間内でクリスマス・パーティーを企画しても、ほとんど誰も参加しなかっただろう。

つまり、イベントはけっして仲間で盛り上がるためのものではない。そんな時代もあったのだ。

しかし今は違う。イブの夜に平気で女子会をやるし、仲間内で飲み会をやる。むしろ、そちらのほうが多数派かもしれない。そして日本ではハロウィンは仲間で楽しむイベントであって、恋人たちのためのイベントではない。家族のためのイベントですらない。

しかも夏フェスなどと違って、ハロウィンは誰でも参加できる。他のフェスやイベント、たとえばフジ・ロックはロック、PACHA FESTIVAL TOKYOならEDMファンでなければ楽しめないし、東京ガールズコレクションは女子でなければ楽しめない。しかし、ハロウィンは男子も女子も一緒に楽しめるし、ガチガチの洋楽ファンもJ-POPしか聴かないような人間も一緒に盛り上がれる。間口が非常に広いのだ。しかも、SNS映えもする。そのあたりがハロウィンが盛り上がる大きな要因だと思う。

恋人より仲間を優先する今どきの若者

今どきの若者のキーワードは「仲間」だ。このことについては数年前、驚愕のエピソードを聞いたことがある。

学生時代から仲の良いある仲間グループがあったのだが、その中のある男子が仲間内のある女子のことが好きだった。何年もの間、その子に対して告白できなかったのだが、ある時、勇気を出して告白したら、なんと、その女子も彼のことを好きだったことがわかった。

僕らの感覚では、それで二人は恋人としてつきあい始めて、めでたし、めでたしで終わるのだが、今どきの若者はそうではない。なんと、その女子はその男子の「つきあって欲しい」という申出を断ってしまったのだ!

ずっと仲の良いグループできたのに、二人がつきあい始めたら仲間内の人間関係が壊れてしまうかもしれない。だからつきあえないというのが理由だ。

最近流行の男女同居のシェアハウスも、男女の関係を仲間意識が超えるという今の若者の価値観があってこそ成立するのかもしれない。昔の感覚なら、男女が一つ屋根の下で暮らしていれば、すぐにカップルになってしまうのに、今はそうではない。

つまり、恋人よりも仲間が大事という感覚だ。もしかしたら、今の若者にとっては「当たり前ですがなにか?」という感覚かもしれないが、僕らのようなクリスマス世代にとっては理解できない感覚だ。しかし、それが今の若者の価値観なのである。

その価値観が生まれたのは、フジテレビの「テラスハウス」の影響が大きいとも言われるが、たぶんそうではない。順番が逆だ。「テラスハウス」を見て、あのような関係に憧れるのではなく、恋人よりも仲間が大事という価値観があるから、あのような生活も「いいね!」と思えるのだろう。

考えてみれば、今の二十代は「ワンピース世代」だ。ワンピースの価値観は「仲間のためなら頑張れる」というもので、メディアの影響という意味ではこちらの影響のほうが大きいだろう。あるいは、昔の日本社会以上に今は同調圧力が強くなっていて、そのような時代に生きるために仲間という価値観がより重要になっている。つまり、仲間意識は自分が生き残るための防衛本能なのかもしれない。

とまれ、なぜ、今の若者にとって、それほどまでに「仲間」という価値観が大きくなったのかについては、別の機会に考察するが、ハロウィンの盛り上がりに関してはやはり、この「仲間」というキーワードが最大の要因だと思うがいかがだろう?

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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