福山雅治が主演したフジテレビの月9ドラマ「ラブソング」。第二話から一桁台の視聴率を続け、第六話に至ってはなんと6・8%!その後も低迷を続け、終わってみれば平均視聴率8・5%と歴代最低の数字をたたき出し、まさに記録的な爆死。
その原因を巡ってはネットやマス・メディアでさまざまな分析が語られている。
福山が結婚して女性ファンが見なくなったとか、福山の相手役の女優・藤原さくらの起用がいかにも所属事務所のごり押しプロモーション臭がして視聴者が反発したとか、設定も含めた脚本がダメだとか。
これらの説にはそれぞれ一理ある。特に脚本に関しては、藤原さくらが喉頭ガンになってしまったことで、そもそものドラマの設定が変わってしまったという批判もあり、そのあたりの制作陣の問題もあったと思う。しかし、今回の福山ドラマ惨敗の根本的な原因は他の所にあると思う。それは、視聴者ニーズの変化だ。
今の女性は、恋愛ドラマを求めていない。
端的に言って、今の視聴者は恋愛ドラマを求めていない。特にテレビ・ビジネスにおいて最も重要とされるF1層(20〜35歳女性)において。
ウソだと思うなら、近年、話題になったドラマを思い出して欲しい。「半沢直樹」「「あまちゃん」から最近の「下町ロケット」「あさが来た」まで。話題になったドラマ、ヒットしたドラマに恋愛ドラマはない。
ちなみに、2015年のドラマ視聴率ベスト10は、以下の通りである。
- 下町ロケット
- 相棒13
- 相棒14
- 天皇の料理番
- アイムホーム
- 花咲舞が黙ってない
- DOCTORS 3
- ○○妻
- 銭の戦争
- Dr.倫太郎
ストレートな恋愛ドラマはひとつも入っていない。
恋愛ドラマが数字が取れない理由は明確で、中核となる客である若い女性(F1)の、恋愛に対する価値観が低いからである。
今どきの若い女性が持つ高い価値観とは、ファッション、ビューティー、キャリアで、恋愛の価値観順位はかなり低い。
恋愛に対する価値観が低いので、恋愛ドラマなど見るはずもないのだ。
件の「ラブソング」も、そもそも基礎票が少ない恋愛ドラマで、脚本や演出がダメだったというのが、大惨敗の本質的な理由だ。
初回に二桁を取れたのも、約3年ぶりに福山がドラマ主演をやるということで見た人が多かったからだと思う。結婚して人気が下がったことが、このドラマ爆死の原因とする人もいるが、むしろ福山のおかげでなんとか初回は二桁いったと分析すべきだろう。
テレビマン、特にフジテレビの人は「若い女性は恋愛ドラマが好き」という間違った幻想を早く捨てた方が良い。今のF!層は、かつての黄金期のF1層とは違うのである。