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進次郎と滝クリの結婚が残念なワケ

意外と不評? 進次郎と滝クリの結婚

小泉進次郎と滝川クリステルの結。第一報を聞いたときは「令和の大型カップル誕生!」とテンションが上がった人も多いかもしれないが、その後の世間の反応は意外と冷たいようだ。祝賀ムード一色とはとても言えない状況だと思う。

もっともさめためで見ているのは女性で、特に大人女子のみなさんだ。それも、わりとおハイソだったりして和文化にも関心の高い層に。

そもそも、滝クリという人は、この層に人気がない。

その最大の理由は、例の東京オリンピック誘致の際の「お・も・て・な・し」にある。まだ多くの人の記憶に残っているが、その時、滝クリが「おもてなし」と言った後、両手を合わせてお辞儀をした。日本人なら誰でも分かるが、日本人はあんなお辞儀のしかたなどしない。旅館や料亭で女将が客に対してやるような仕草ではない。やるとすれば、仏壇の前くらいなものだ。だから、当時、おハイソな大人女子の間で流行っていたのがあの仕草の揶揄で、滝クリの仕草を真似ながら「お・ぶ・つ・だ・ん」とかやっていた。

滝クリの「お・も・て・な・し」と弔問のマナー

正しいお辞儀のマナー

 

このような、日本の常識からかけ離れたものを、世界に向けて、あたかも日本の伝統文化であるように紹介してしまった滝川クリステルに、和の文化を愛する大人女子のみなさんがカチンとくるのも当然だろう。

そもそも、滝川クリステルという人は、「恋する理由 私の好きなパリジェンヌの生き方」という著書があるくらいで、フランス語が話せるとか、フランス文化を背景に自分のブランディングをしてきた人だ。それが、オリンピック誘致では、いきなり日本文化の伝道者みたいな顔をして出てきて、しかもそれが間違っていたとなれば、このようなお作法や文化に厳しい大人女子の皆さんに嫌われるのもしかたないことだろう。

女子からの評判が悪いもう一つの要因は、結婚発表の内容に拠る。今どき、できちゃった婚くらいではたじろがない女子のみなさんも、「安定期にはいったから入籍する」という発言にはドン引きだったようだ。まるで、妊娠しても流産していたら進次郎は結婚しなかったかも? と思わせるような発言に、まるで「女性は産む機械」とでも言っているかのような、前近代的な所業に、特にアラフォー女子は、進次郎に対しても、滝クリに対しても、違和感を感じたようだ。

進次郎は、出産後には産休を取る意向であると発言しているようだが、女性にすり寄る態度を取るように見せつつ、妊娠しても安定期に入るまで入籍を決めない、記者発表の時点でも入籍さえしていないという点は、とても女性に対して配慮ある行動とは思えない。

もっとも、安定期に入るまで、滝クリ自身が妊娠を隠していて、もう中絶できない段階になって妊娠を告げたという説もあり、それはそれで女にはめられたという意味で進次郎の失点になるし、はめた滝クリもあざといということで女性の歓心を買うこともないだろう。どっちにしても、女性の支持が得られそうな話ではない。

政界からは「結婚を政治利用している」という批判もあるようだが、それは一般人にとってはどうでもいいことだ。一般人、特に女性にとって重要なことは、結婚、妊娠という女性にとっての重大事に、進次郎と滝クリはお互いにどう向きあってきたのか? という点につきるし、今のところ、あまり女性からの好評は得られてないように思える。しかし、僕は他の意味で、二人の結婚に関してはガッカリしたのだ。

世界標準からかけ離れた進次郎と滝クリ

そのガッカリした理由は、まさに二人の結婚の理由にある。

例の官邸前での記者会見で、結婚について二人はこう答えている。

進次郎「政治バカのわたしが、クリステルさんといると、政治という戦場から離れることができる」

滝クリ「素のままで、ありのままでいられる、お互いが。いい関係だと思っています」

このような言説を素敵だと思う人も多いだろうが、僕は思わない。

一般人ならそれで問題ないが、これは「将来の総理候補ナンバーワン」の政治家と、国際派を売りにしているキャスターの結婚である。もう少し目線の高いマシなことが言えなかったのかとも思う。

ここで思い起こすのがジョージ・クルーニーのことだ。

ハリウッドのモテ男であるジョージ・クルーニーは、モデル、女優から、女子大生やプロレスラーなど、多彩な女性たちと浮名を流してきた。「絶対に結婚してくれない男性」として有名で、ファンも芸能マスコミもジョージが結婚するなど考えてもみなかった。それが、2014年、ロンドンを拠点とする国際派弁護士のアラム・アラムディンとの結婚をいきなり発表。世界を驚かせたが、カッコよかったのは結婚の理由だ。

ジョージとアラムが初デートの時に盛り上がった話題。それはシリア難民の問題だったという。そんな話題で盛り上がったことで、「絶対に結婚してくれない男」のハートは一気に結婚へと傾いたのだった。

進次郎・滝クリの結婚の理由と比べて、格段にカッコいいとは思わないだろうか?

将来の総理候補と、ファーストレディ候補の結婚なのだから、一般人やそのへんの芸能タレントとは違う、なにか高邁な理由を(嘘でもいいから)言って欲しかったと思う。

目線の低さが気になる日本の将来

こういう目線の高さは、なにもハリウッド俳優や国際派弁護士だけのものでもない。

日本の一般女子でも、バブル時代に「どのような男性と結婚や恋愛がしたい?」という質問には、必ず「お互いを高め合える人」と答えたものだ。

それに比べたら、進次郎の発言からも、滝クリからの発言からも、そのような「お互いを高め合う」意識など微塵も感じられない。

繰り返すが、将来の総理候補、ファーストレディ候補としては、目線が低すぎると思う。

そこが僕が危惧する点だが、もっと危惧することもある。

それは、こんな「癒やされるから結婚」みたいな不抜けた発言に納得している一般国民のマインドだ。結婚・恋愛の対象として「お互いを高めあえる人」と言っていたバブル女子からは、「バカじゃないの?」と言われかねないような発言に対して、今どきはマスコミからもSNSでもあまり批判的な意見が出てないように思える。

その国の政治の質は民度が決めると言うが、日本国民の目線が低ければ、たとえ総理候補といえども目線の低い発言、発想しかできなくなる。将来の総理候補が、ハリウッド俳優にも負けていることにも残念だが、それで国民がそれで納得しているなら、そっちのほうがはるかに残念ではある。

せめて、女子のみなさんには、結婚にも恋愛にも目線の高さを持って欲しいと思う。

 

 

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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