女性として生まれたというだけの理由で殺されることもある。
10月11日は「国際ガールズ・デー」(International Day of the Girl Child)です。これは、世界中の少女に対するあらゆる差別や偏見を取り除くことを目的とした日で、2011年に国連によって定められました。
世界には、女性に対する非人道的な差別、偏見が残っている国や地域も数多くあります。そのような国、地域では、女の子としてうまれただけで、命が奪われることもあります。
たとえば、幼い子どもが病気になっても、男の子は病院に連れて行くが、女の子は連れて行かない。成人して結婚し、子どもを産んで母親になった女性でも、生まれてから一度も病院に行ったことがない、文化的・因習的な理由で病院に行かせてもらえない女性も数多くいます。
貧しい国の家族はおしなべて子だくさんですが、父親が「うちは貧乏なのに子どもの数が多すぎる」と文句を言うと、母親が幼い子どもを井戸に放り込んで殺してしまう。その場合、井戸に放り込まれるのは男の子ではなく女の子です。
数多くのNGOが途上国の貧しい地域に学校を作っていますが、新しい学校ができても、男の子は学校に通えるが、女の子は学校に行かせてもらえない。そのような地域もたくさんあります。
このような事態を改善して、少女が学校に通えるようにするために、学校を作ったNGOは両親や村の村長に対して、少女が学校に通えるように説得します。しかし、貧しい農村などでは少女は水汲みなどの仕事のための貴重な労働力なので、説得に応じない父親もいます。そのような父親に対して、NGOが少女の奨学金を提供する場合もあります。父親は、娘を学校にやれば、お金がもらえる。それで、ようやく少女が学校に行くことが許可される場合も多いのです。
少女の人身売買、児童売春も後を絶たず、娘を売り払ったお金をバイクを買い、隣村の愛人の元に通う。そんな父親も珍しくはありません。
アジア、アフリカ諸国での集団レイプによる性被害も多大なものがあります。インドでは、2012年に首都デリーで悲惨な集団レイプ事件が起きました。友人男性とバスに乗っていた女子医大生が、乗客の男性数人によって車内で集団レイプされ、さらに鉄パイプで殴られ、女性器にも激しい暴行を受け、バスの窓から路上に放り投げられるという事件が起きました。
被害女性は路上で数時間放置された後、シンガポールの病院に搬送されましたが死亡。
それまでもインドでは集団レイプ事件が多発していましたが、この事件は世界中のマス・メディアが報道し、インド国内でも女性たちによって暴動に近い激しい抗議行動がおき、その後、インドでは集団レイプは死刑という重罪として扱われるようになりました。
しかし、それでも集団レイプ事件は後を絶たず、このデリーでの女子医大生集団レイプ事件の犯人グループの大半は無罪放免。その中の一人の男性は、のちにウーバーの運転手となり、乗客の女性に対するレイプ事件を起こし逮捕されています。
アフリカでは幼女に対する集団レイプ事件も頻発しており、ある国では姉妹が集団でレイプされたのちに殺害され、学校のトイレに遺棄されるという事件も起きています。被害にあった姉妹の年齢は2歳と3歳でした。
ISやボコ・ハラムなどのテロ組織は、学校などを襲い少女たちを大量に拉致し、花嫁として売り飛ばしています。その値段は、千円程度とも、タバコ一箱分と同等の値段とも言われています。
父親の意に沿わない相手と結婚した、あるいは離婚をした女性は「一家の名誉を汚した」という理由で一族によって殺される「名誉殺人」も、女性器の切除という風習も、途上国だけの問題ではありません。イギリス、ドイツ、オーストラリアなどの欧米先進国でお起きている「事件」です。
かつてジョン・レノンは「女は世界の奴隷か?」と歌いましたが、いまだに世界には「奴隷状態」におかれている女性が数多い。むしろ、そのような女性のほうが大多数だと言っても過言ではないでしょう。
女子に生まれた誇りと喜びを!
「国際ガールズ・デー」は、世界の女の子が置かれたこのような状況を知り、女性としての尊厳を奪うあらゆる差別、偏見を無くしていくための啓発デーです。
日本でも、この日を広めるために、数多くのNGOや大学などが参加して「国際ガールズ・デー推進ネットワーク」が作られています。10月11日向けて、さまざまなイベントやフェアなどが開催されています。
女性支援NGOの「ガールパワー」も、もちろんこのネットワークに参加。これまで、各地で講演会、セミナー、イベントなどを開催してきました。今年も、9月9日の年次チャリティ・パーティーや、医療関係者が中心となった団体「ジョイナス」の協力で啓発イベントを開催。また、独自メディアである「ガールパワー・インサイト」上で特集を組むことにしました。
ガールパワーのタグラインは「Proud to be a Girl」。世界中の女性が、女性として生まれたことに誇りを持てる、そんな社会を作ることにあります。
女の子として生まれたことに誇りを持てるように、女性としての尊厳を取り戻すために、ガールパワーでは女性の衛生教育に取り組んでいます。
途上国では女性の生理に対する偏見もまだまだ強く、整理期間中の女性は「汚い」ということで、家畜小屋に放り込まれてしまう。そんな国もあります。貧しくて生理用品も買えない。だから、少女が初潮を迎えると学校に行くことを嫌がり、行かなくなることもあります。一度、学校に来なくなった少女は、二度と学校に戻ってきません。
少女たちのこの生理の問題、自分たちの身体に対する無知という問題を解決するために、ガールパワーは、女性の身体のメカニズムを学ぶワークショップを開催、同時に安全で清潔なオーガニック・コットンで作った生理用パッドのセットを提供しています。このパッドは現地の工場で生産され、女性たちの雇用も生み出しています。
現在の活動地域は、インド南部のタミル・ナドゥ州です。
女性の生理や生理用品に関する事情は、地域や国によってさまざまですが、この地方の女性や少女が抱える大きな問題は、誰も少女たちに生理のことを教えていないということです。
母親も祖母も叔母も、親族の誰も生理について、女性の身体のメカニズムについて理解していない。だから、少女にも教えることができません。私たちが活動している地域では、少女たちは学校に通えるという意味では、他の途上国の少女たちに比べて、まだ恵まれているほうだと言えます。
しかし、学校も親族も、誰も女の子の身体のことを教えない。教えることができない。
そのことがさまざまな弊害を生んでいます。
生理に対する理解がないために、毎月、経血を流す女性は汚いものだと考えられ、衛生観念もないので、まるでボロ雑巾のような汚い布で生理中の手当を行う。
ある少女は、母親をガンで亡くしました。だから、自分の身体から毎月、血が流れるのは、自分も病気でもうすぐ死ぬのだと信じ込んでいました。
そのような状況の女の子たちのために、ガールパワーは衛生教育のためのワークショップを行い、清潔で安全なオーガニック・コットンの生理用パッドを提供しているのです。
女性が自分たちの身体のことを正しく知る。そのことで、自分たちはけっして「汚いもの」でもなければ、「穢れたもの」でもないことを知り、女性としての尊厳を取り戻し、女性としてうまれたことの誇りを喜びを得ることができるのです。
ガールパワーのこの衛生教育プロジェクトである「Happy Pad Project」のプログラムを必要としている女性は、インドだけで2億人もいると言われています。その他のアジア、アフリカの国々の女性を加えれば膨大な数になりますが、世界のすべての女性、少女の尊厳のために頑張っていきますので、ご支援、ご協力お願いします。
ガールパワーへの寄付のお願い
ガールパワーでは前述の「Happy Pad Project」のほか、日本の女子高生、女子大生に対するキャリア教育、起業女子の発掘と育成など、女性をエンパワーメントするさまざまな活動を行っています。
みなさまのお力で、ぜひこの活動をご支援ください。
ガールパワーに関する詳細はこちらの公式サイトにて。
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