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AKB総選挙。指原莉乃三連覇で考える、いまどき女子力とは?

「モテ」としての女子力はトップ・アイドルに学べ!

前日にイベント中止が発表されるなど大波乱だった今回のAKB選抜総選挙。指原莉乃が三連覇を成し遂げたが、なぜに指原莉乃はこんなにも強いのか? その理由を考えながら、今どきの「女子力」の在り方について考えてみた。

「女子力」という言葉の定義は曖昧で、ネットでもさまざまな「女子力」論が存在している。しかし、ネットの記事を見ても女性誌の特集を見ても、多くの女性にとって「モテ」が女子力の重要な要素であると考えている事は分かる。であれば、モテが仕事でもあるトップ・アイドルから学ぶことも多いはずだ。そして、指原莉乃を考えると、多くの記事で述べられている「モテとしての女子力」が実は間違っていることに気づく。

アイドル文脈から逸脱している指原莉乃

指原莉乃というのは不思議なアイドルだと思う。「不思議」というのは、これまでのアイドル文脈から考えてという意味だが、ファンからの批判を覚悟で言えば、アイドル的な意味ではけっしてカワイイ部類には入らない。アイドル的という意味では、たとえば渡辺麻友の方がはるかにアイドル的だ。しかし、総選挙の結果は指原三連覇。しかも今回は2位の渡辺麻友に10万票もの大差をつけて圧勝している。

AKBグループと坂道シリーズ(以下、総称してAKB)は誰もが認める現在のアイドル界の頂点だ。そのAKBの頂点に、あまりアイドル的ではないアイドルが三年間にわたって君臨し続ける。その事実が意味することは、アイドルというものの存在意義が、アイドルの意味がすでに何年も前から変わっているということだ。そして、それがAKBというグループの中で起きたことは興味深い。

なぜなら、AKBというグループは本来は守旧派的なアイドル・グループだったはずだからだ。そのあたりのことは、以前に「ダイヤモンド・オンライン」の連載で詳しく書いた。

「Perfumeファン」「AKBファン」、あなたはどっち?女性アイドルの好みでわかる、オトコの変革志向

簡単に言えば、日本の女性アイドルには大きく分けて、男性の幻想を満たす体制派アイドルと、男性の幻想を打ち破る反体制派アイドルの流れがある。女性アイドルの基本は男性の幻想を満たすものだが、時代の変わり目には幻想を打ち破るアイドルが登場し、トップに躍り出る。山口百恵や中森明菜などがその代表だ。

ちなみに松田聖子は当初(中森明菜と2トップで張り合っていた頃)は完全な体制派アイドルだったが、結婚して子供(神田沙也加)を生んだあたりからそれまでのアイドルの概念を次々と打ち破り、アイドル業界の体制内で反体制派に転じた。実は山口百恵も中森明菜も最初は体制派アイドルとしてデビューしたが、ほんとうにブレイクしたのは反体制派に転じてからだ。松田聖子のように、体制派としてブレイクした後に反体制派に転じた例は稀有である。

その文脈で言えば、AKBはモーニング娘。の系譜につながる完全な体制派アイドル・グループだったはずだし、今でも基本的には体制派だ。指原莉乃の特異性は、この完全な体制派の中にありながら、アイドル文脈から外れたアイドルとして存在し、しかもその体制派の中でトップに君臨しているということだ。まるで「自民党をぶっ壊す!」と言って自民党政権の中で総理になった小泉純一郎みたいだ。

これはつまり、男性ファンの意識が変わったということだ。以前からアイドル・シーンにも反体制派のファンもいたが、体制派のファンの意識さえも変わったということを意味する。

指原莉乃が指し示す「いまどき女子」のモテの条件

指原莉乃は女子にも人気があるという。本稿では「モテ」と女子力の関係について論じていることと、総選挙にあたってCDを大量に買い込み投票行動をしているファンの大多数は男性ファンであると思われることから、女子受けしている理由については考察しない。

ただし、女子人気の秘密と、多くの男性ファンを獲得している理由は実は同じだと思う。

指原莉乃に対する評価としてよくいわれるのは、その「コメント力」である。これは一般視聴者だけなく、たとえば松本人志が「あの子は賢い」と評するように、プロからの評価も高い。番組収録でどんな球を投げても、どんないじり方をしてもキッチリと返してくる。そのコメント力に対する評価だ。

「ポジション女王」という評価もある。芸能界でのポジションの取り方が絶妙ということだ。

これについては、西澤千央というフリーライターがこのように書いている。

思えば指原さんこそ「ザ・ポジション」で生き残っていった人。大所帯アイドルの中でどうやって自分を見つけてもらうかを見極め、見つけてもらってからはどう領土を拡大していくかを練り、ある程度の基盤を固めたらあとはそこを「ポジション化」した、いわばアイドル界の土地転がし。

指原莉乃さんの「坂口杏里逮捕」のコメントが、芸能界のポジション女王の風格だった件

この西澤氏の記事にもあるように、指原莉乃のコメント力は、その抜群のポジション力にも支えられていると言える。

また、指原莉乃は自身がアイドルであると同時に、アイドル・プロデューサーでもある。「=LOVE」(イコールラブ)という声優アイドル・グループのプロデュースを行っている。

が、しかしアイドル・プロデューサーとしての指原莉乃の最高傑作はなんと言っても自分自身、つまり「指原莉乃」のプロデュースだろう。評価の高いコメント力もポジション力も、このセルフ・プロデュースの力があってこそだ。

このプロデュース力こそ、モテを目指す女子が学ぶべきスキルだ。

実際、僕が見ていても世の中にはビジュアル偏差値も高く、頭も悪くないのにそのポテンシャルを生かし切れてない女子も多い。そのような女子には決定的に自分自身に対するプロデュース力が欠けている。

プロデュース力が無いから、女性誌などの女性メディアのモテ記事、モテ情報に振り回される。そのような情報をチェックすることは無駄ではないが、肝心なことは仕入れた情報の加工だ。仕入れた情報を自分に活かすにはどう加工すればいいかを考える。それがプロデュースという作業だ。

世の中には、素人でもセルフ・プロデュースが上手い子もいて、テレビに出ている芸能人でもないのにインスタグラムやtwitterのフォロワーが何万人とかいる女の子もいる。しかし、そのような女子の大半は高ビジュアルで、単に美人(カワイイ)自分を見せつけているだけにすぎない。生まれ持った高ビジュアルを活かしきっているという意味ではプロデュースできていることになるが、残念ながら大半の女子はそこまでのビジュアル力は持ち合わせていない。

しかし、ビジュアルで劣っていても、高ビジュアルな女子に勝つことができる。それを実証してくれているのが指原莉乃だ。渡辺直美もデブでブスというハンディを逆手にとって高い人気を得ているが、彼女はアイドルではない。アイドルという本来的にはビジュアル勝負の世界で、ビジュアルで勝負せずに勝っている。そこが指原莉乃の凄さであり、女子が学ぶべきところなのだ。

モテを目指す女子のみなさんは、ぜひプロデュース力を磨いてください。

 

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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