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今一生
フリーライター・編集者。1965年生。著書に『プライドワーク』(春秋社)、『よのなかを変える技術』(河出書房新社)など多数。

まず、下記の動画を観てほしい。

2014年(平成 26 年)4月から2015年(平成 27 年)3月までの1 年間に厚生労働省が把握した「子ども虐待により死亡した事例」は、心中以外の虐待死事例では 43 例(44人)、心中による虐待死事例では 21 例(27 人)、計71 人だった。

日本のどこかで、ほぼ5日ごとに1人の子どもが虐待で殺されている。

しかも、今年(2017年)は例年以上に親が逮捕される事件が相次いでいる。命からがら生き残っても、虐待によって心や体に傷を負い、生涯に渡る長い通院・入院生活を余儀なくされている人も大勢いる。

全国の児童相談所に寄せられる虐待相談の件数は、右肩上がりに増える一方。

厚労省が虐待の調査を始めた1990年(平成2年)は1101件だったものの、2015年(平成27年)の速報値は10万3260件。相談件数は25年間で約100倍に増え、虐待の内実も見過ごせない事態になっている。

児童虐待がこれほど深刻化していても、虐待の実態を知る市民は少なく、それは企業の経営者も例外ではない。虐待をした社員が逮捕されれば、住所が報道され、ネットでも勤務先が特定される。自社の人材を失うどころか、消費者・株主からの社会的信頼さえ失墜し、売上ダウンや事業の持続可能性の破綻すら避けられない。

児童虐待は、経営者に想定外の経営リスクなのだ。その実態を知って対策をとろうとしない限り、社長も社員もついやってしまいかねない地雷だ。もっとも、児童虐待は業種・業態を問わない社会的課題だから、CSR(企業の社会的責任)として解決に取り組むべき格好の課題であり、経営者・CSR担当者・社員が一丸となれるチャンスともいえる。

それには、社長を筆頭に社員が虐待された当事者の声を知る必要がある。
僕は、編集者としての名義「Create Media」で、1997年に『日本一醜い親への手紙』という本を出版した。

これは、親から虐待された当事者100人の「親への手紙」を公募で集めて1冊に収録した本だ。

そんな本は、世界でも珍しい。

今年(2017年)の秋には、『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を出版する。20年ぶりに新たに公募・編集し、出版する理由は、3点ある。

(1)未成年のリアルタイムな虐待をネットで拾える

未成年のリアルタイムな虐待の実態は、小学生の頃からスマホを利用している今日なら、インターネットを通じて当事者から公募すれば誰の目にも明らかになる。なのに、誰も公募をやっていない。

学校やフリースクール、塾や学童保育などの教育現場で、子どもたちに「親への手紙」を書いてもらえれば、「つらいので親にやめてほしいこと」が浮かび上がり、虐待の早期発見と児童相談所への通告が容易になる。

そこで、今回はネット上の公募はもちろん、そうした教育機関・養護施設などを通じて、未成年の「親への手紙」が集められるよう働きかけていく。

つまり、この公募自体が虐待の早期発見のチャンスとなり、虐待の苦しみをこじらす前の予防になるのだ。

(2) 20年前には見えなかった新しい虐待の実態も伝えたい

厚労省は、身体的虐待・心理的虐待・ネグレクト(育児放棄)・性的虐待を児童虐待の典型例として示している。しかし、今日では、子どものお金を親が不当に奪う「経済的虐待」や、親自身が精神病やカルト宗教団体の信者などによって子どもが一般社会となじめなくなる「文化的虐待」など、報じられることがまだ珍しい新しい虐待の実情がある。

ところが、安倍政権下では軍事費が突出して増え、虐待対策への予算割当は実情に見合わないままだ。これでは児童相談所における慢性的な職員不足は解決できないし、虐待された子どもを救うことなどできないし、虐待を減らす仕組みすら作れない。

児童虐待の被害者の多くは、18歳未満だ。彼らには選挙権がなく、教育現場では戦後からずっと主権者マインドも育てられておらず、被虐待児は虐待対策の予算を増やすように国に訴える方法さえ知らない。子どもだけで法テラスのような相談機関を通じて親を法的に訴えることも難しく、事実上、泣き寝入りするしかない。

だから、自分をレイプした父を殺して刑務所に行く少女も、昔からいる。

一人では抱えきれない苦しみを終わらせるには、相手が実の父親でも殺すしかない。そう思わせているのは、「虐待はいけません」という安っぽい啓発事業に金をかけるばかりで、虐待された子どもが安心して避難できる法制度や住環境を整えていないからだ。

相手が他人の大人なら逮捕される蛮行が、家という密室で身内のわが子に行えば、逮捕も発覚もない。そんな法制度を許しているのは、児童虐待に無関心だった私たち大人の国民だ。だからこそ、虐待された当事者100人が自身の経験を明るみにする画期的な本『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を出版する意義は大きい。

本書の採用者には1万円を謝礼として提供するため、今まさに深刻な虐待を受けている未成年が児童相談所や民間の子どもシェルターなどへ避難するための交通費になる。相談料が高くて子どものお小遣いでは払えないカウンセリングを受けることもでき、そこから虐待を児童相談所へ通告することで保護されやすくなる。

この本の出版自体が、緊急案件の当事者を窮地から救うチャンスになるのだ。

(3)職場や学校で虐待の現実を学び、児童虐待の最少化へ

この『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)は、dZEROという出版社から今秋発売予定だ。通常の出版コストは300万円程度だが、採用謝礼は1人あたり1万円を100人に提供するため、振込手数料や見本誌の配送料も含めると100万円以上が上乗せになるため、400万円以上が必要になる。

本の制作資金は、1冊2000円(税・送料込み)の先払いで本を買っていただくことで調達する。先払いで本を購入された方は、全国の書店に流通する前に入手でき、領収書も発行され、本のエンドクレジットに名前を入れることもできる。

とくに、企業・学校・政党などには、法人名義による一括購入をしてほしい。従業員みんなで「児童虐待とは何か」を学べば、虐待による逮捕で団体のイメージダウンによるリスクを最小化できる。

この出版プロジェクトを応援する有名人は、児童虐待にくわしい臨床心理士の信田さよ子さんや、元NHKアナウンサーで市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」を主宰している堀潤さん、『健康で文化的な最低限度の生活』のマンガ家・柏木ハルコさんなど、日に日に増えている。

※1997年版の『日本一醜い親への手紙』に寄稿した信田氏の文章の一部

それでも、「虐待? 自分は関係ない」と思う人が大半だろう。

実際に親から虐待されていた過去があっても、ピンとくる大人は少なくない。

自分が本当は愛されていなかったことを認めるのは、つらいことだからだ。

でも、簡単に気づける方法がある。

それは、目の前の誰かにとって「良い子」「良い人」に思われたいと望んでしまうかどうかだ。

親の前ではいつもビクビクしながら顔色をうかがい、自分の進路や恋人を決める時ですら許可や承認を求めなければ何もできないほど支配されていた頃の記憶も、大人になると忘れがちだ。社会に出て、経済的に自立するまでは、親の言うことに従わなければならない関係は、金融業者と借り主の関係にすぎない。

親の命令に従わなければ、食事も、服も、安心できる家も、自分が求める教育のチャンスも得られないなら、それは立派な経済的虐待だ。虐待は隷属的な関係を刷り込み、自分の人生を自分で決める自由と権利を奪い、自尊心を空洞化させ、親代わりのような保険がどこかにあるような幻想に酔い続けさせる。

ぜひ、勤務先・通学先で同僚・仲間を誘い、先払いで『新編 日本一醜い親への手紙』(仮題)を購入されたい。かわいそうなのは、海の向こうにいるハエのたかった裸の子どもどころか、うつろさを埋め合わせようと無理やり元気を出そうとしている自分自身かもしれないのだから。

●虐待された方から「親への手紙」を 公募中!(購入サイト)
http://letters-to-parents.blogspot.jp/

(編集部注)上記書籍の公募は今一生氏のプロジェクトであり、ガールパワーの活動とは関連はありません。

 ライター・今一生の著作『よのなかを変える技術』

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フリーライター・編集者。1965年生。著書に『プライドワーク』(春秋社)、『よのなかを変える技術』(河出書房新社)など多数。

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