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「大人の恋」の難しさ:渡辺謙氏

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池内ひろ美
ガールパワー代表理事 夫婦・家族問題評論家 家族問題コンサルタント。日本ペンクラブ会員。八洲学園大学教授(女子学・家族論)

渡辺謙氏の、いわゆる不倫報道について思うことがあります。
一部では、「ベッキーのゲス不倫では報道過多だったのに、渡辺謙の不倫はなぜその後の報道がないのか、謝罪会見はしないのか」と言われているようですが、ベッキーの「嘘がバレる過程を自らのLINEでつぶさに見せてしまった不倫」と、この度の「一方的に記事にされた」印象の違いがあります。
私は個人的に渡辺謙氏の謝罪会見など必要ないと思います。

渡辺謙といえば、私の世代ではNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』で大河史上最高の視聴率39.7%を出し一気に大スターとなった後、初の主演映画『天と地と』を急性骨髄性白血病で降板となる。その降板の悔しさを我が事のように悔しく切なく思った世代です。

その後、前妻との3年にも及ぶ離婚裁判の中で、前妻が5億円もの借金をしていたとか、渡辺謙氏が9人もの女優やテレビ局受付女性との不倫疑惑が語られたことにやきもきしたり、その後南果歩さんと再婚した時にはほっと安堵したものの、南氏が乳がん手術を受け放射線治療や抗がん剤治療を経て代替治療などを続けて再発と戦っており、渡辺謙氏は彼女を支えるーーー渡辺謙という人は仕事も私生活も波乱に満ちた人生なのですね。

 

今回の報道によると、大阪北新地の高級クラブでホステスをしていた美女(現在36歳)と3年半前にホステスと客として出会い、美女はそれまでのパトロン社長との関係を切り、1年後には渡辺謙氏と深い交際が始まったとされています。
『週刊文春』に掲載された2ショット写真や、眠っている渡辺氏の顔を美女の手の平に載せた遠近法写真など、本人か身近な人からしか出ないだろう画像と、同僚ホステスに渡辺氏からの電話のセリフ伝えた内容など、あたかも記事として売られたかの印象を受けかねない内容に、なんとも残念なものを感じざるをえません。

 

なにが残念かといえばーーー芸能人ではなく一般人の場合で説明したほうが分かりやすいと思われますので、次に書いてみますね。
(私は20年以上前から男女関係の相談を行っており、今までに相談件数3万7000件を超えています。次に説明する事例に個人情報は含まれません)

57歳の、社会的地位のある仕事を持ち経済的に豊かな既婚男性が、高級クラブのホステス美女とつきあい始める。これは一般的にもよくあることです。途中で妻(正妻)に重大な病気が見つかり治療に入るも、美女(愛人)との浮気は止めない。これも一般的によくあることです。愛人はクラブ勤めを辞め、彼にふさわしく見える職業に転職する。これも一般的によくあることです。

問題はここからです。

もちろん、「浮気」「不倫」は行ってはならないことですが、それでも、いけないと分かっても恋に落ちることはあります。結婚していても、中高年という年齢だからこそ落ちる恋もあります。これを「大人の恋」と呼ばせてください。
若く美しい女性と出会い「大人の恋」をはじめた人(主に男性)は、密やかに、誰にも知られることなく、誰も傷つけることなく長く続けていきたいと望むのも、(正妻には気の毒なことですが)自分たち夫婦の「老い」を感じはじめた年齢の彼らだからこそ、若く美しい女性を手放したくないと感じるのは切なくも当然のことかもしれません。

問題は、ここからです。

若く美しい不倫相手が20代〜30代前半であれば、一緒に美味しい食事をとり、豪華な旅行をし、適宜プレゼントやサプライズのある日々をともに楽しく過ごすことができます。正妻や仕事仲間にバレたらどうしようというドキドキ感も刺激的であるかもしれません。不謹慎ですが。
20代〜30代前半の美女は57歳の男性といきなり結婚を望んだりしないかもれません。
(少なくとも彼に対して言うことはーーー
「私は結婚なんて望まないの。自由に愛し合える関係がいいし、だって、何より大切なあなたを困らせたくないもの」「奥様では満たされないあなたを私が満たしてあげたい」みたいなセリフの一つや二つは言います。必ず言います。職業に貴賎はありませんが、ホステスという職業は、どんなセリフを言えば男性が喜び、何をすれば男性を虜にすることができるか熟知している職業の一つでもあります)。

さらなる問題は、ここからです。

20代〜30代前半だった美女も35歳になります。「時間」だけは誰にも平等に訪れるため、どれほどの美女であってもいずれ35歳を迎えます。
相談に訪れる美女の中にも、35歳となってから慌てて相談来所する方は多くあります。
既婚男性と不倫している彼女たちの言い分をまとめるとこんな感じです。
「今まで年齢なんて考えたこともなく楽しく過ごしてきたけど、35歳になって急に子供を産みたいと思うようになって。結婚なんてしたくないと思っていたけど結婚して子供を産むほうがいいですよね。でもいい男は皆結婚しているし、今さら男のレベルを下げたくないから略奪してでも結婚したいんです。彼が妻ときれいに別れられる方法を教えてください」と、まったく本人の願望だけに忠実なご相談を口にする人は多くいます。
そこには、彼の社会的立場への配慮はありませんし、ましてや彼の妻や子供に対する配慮など微塵も見られません。中には「私のような有名なホステスと結婚するのは、彼にとってトロフィーワイフのようなものよ」と豪語する女性もありました。

だから、男性は気をつけなければならないのです。

こういった事態となる前の男性は「俺は『大人の恋』をしているのさ、ふふふ」と悦に入っている場合が多いものですが、女性の年齢(加齢による変化)を舐めてはいけません。
それまで2人きりの世界を楽しみ、ラブラブ・ちゅっちゅ、とじゃれ合っていた可愛い不倫相手女性が35歳を超えたあたりで突然豹変し、結婚を迫り、正妻との離婚を迫り、出産したいと望み、なぜ妻は子供がいるのに私は子供を産んではいけないのか!と金切り声を上げ、中には安全日だと謀って妊娠を先行させる場合すらあります。

彼女の言動に辟易した男性が、ついに不倫相手女性へ別れを告げたときーーー
さめざめと泣き、僕がいないと彼女は生きていけないのではないかと心配になるーータイプの女性は少ないと思ってください。
多くの場合は逆襲に出ます。その方法はさまざまです。
彼の仕事先に嫌がらせをする、怪文書を流す、彼の妻にすべてバラして離婚を迫る、彼の子供へ嫌がらせをする、仕返しに彼の子供と肉体関係を持ったという不倫相手女性もありました。彼が著名な人であればマスコミにばらす、週刊誌に売るという不倫相手女性もあります。一般人でも、彼の上司や同僚にバラした人もありますし、彼行きつけの店で大立ち回りをした女性もあります。

それは破壊衝動にかられるというものではありません。たとえば、騒ぎとなり2人の不倫関係が公になることによって彼が妻と夫婦喧嘩となり離婚となる(再婚できる)のではないかと、そこに賭ける不倫相手女性がいるということです。
彼女から明確なリベンジを受けてもなお、「彼女は悪くないんだ」と周りに説明して歩く男性もいますが、別れ際の美しくない女性、口の軽い女性と不倫関係となったことが彼の失敗だと気づかないのでしょう。とても残念なことです。
余談ですが、どうしても浮気を止めることができないという男性相談者には、「ではせめて、女性を美醜で選ぶのではなく、口の堅い女性を選んでください」と伝えたことさえあるほどです。それが妻子を守ることにもつながるからです。

浮気慣れした男性は、浮気相手女性と長期間つきあいません。浮気相手女性が独身の場合は彼女が30代中盤を迎える前に別れます。遊び慣れた男性とはそういうものです。

浮気や不倫はいけないことですが、それらを完全に否定することが私にはできません。それは、不法行為だからダメと断罪できない類いの切ない不倫も多く見てきたためですが、せめて、「遊び」とは異なるところに、成熟した「大人の恋」という存在があってほしいな、と、ふんわり思います。

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池内ひろ美

池内ひろ美

1961年生まれ。夫婦・家族問題評論家。家族問題コンサルタント。日本ペンクラブ会員。八洲学園大学教授(女子学・家族論)。
一般社団法人日本女子力推進事業団(Girl Power)代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。一般社団法人全国危機管理推進事業団理事。一般社団法人国際教養振興協会顧問。
所属:よしもとクリエイティブ・エージェンシー

■著作
『とりあえず結婚するという生き方』ヨシモトブックス
『大好きな彼に選ばれるための25の法則』スターツ出版
『結婚の学校』幻冬舎
『妻の浮気』新潮新書
『良妻賢母』PHP新書ほか(31作品)

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