「愛してる」――最期に告げて逝った小林麻央さんと、夫・市川海老蔵さん、姉・小林麻央さん
6月22日の小林麻央さんの訃報には、日本中が涙した、と言っていいほど、最期の最期まで愛に生きた彼女の悲しい知らせには、多くの人が胸を痛めました。
「愛してる」――最期に告げて逝った妻。夫・市川海老蔵さん、そしてそんな姿をそばでともに看取られた姉・小林麻耶さんや、姉妹お二人のお母様のご心情を思うと、胸がつまります。
姉・麻耶さんのお仕事ご復帰のタイミングも、麻央さんは見届けて逝かれたようにすら感じます。
「恋のから騒ぎ」に麻耶さんが出演され人気を博し、その次の期に麻央さんが出演され、お二人ともおなじテレビの世界で活躍する道に進まれました。お互いにお互いの仕事に対し、尊敬の念があったことでしょう。生前の麻央さんは、麻耶さんをテレビで観るのを楽しみにされていたと聞きます。
そして、麻央さんご逝去の翌日には、気丈にも復帰番組の収録に臨んでいたという麻耶さん。「麻央ちゃんに心配をかけたくない」思いで、胸のなかに麻央さんへの愛を抱いて、ともに踏ん張られたのでしょう。
麻耶さんと海老蔵さんの今後のお姿に、私たちは麻央さんを見る
ほんとうに素晴らしい姉妹愛、夫婦愛。愛について、あらためて考えさせてくださった麻央さんの生きかた、そして最期でした。
麻央さんは、これからも麻耶さん、海老蔵さんのなかに生き続けるでしょう。私たちは、お二人を通して、麻央さんの愛を受け取り続けるのでしょう。
そんなお二人のお姿を、祈るような見守るような気持ちで拝見できることは、私たち視聴者や観客にとって、大変な恵みだと思います。
姉妹関係に葛藤を抱える女性たちの背景
さて、2013年公開のディズニー映画「アナと雪の女王」のブームなどでも、姉妹愛は注目されました。
しかし、実はそのように姉妹愛がクローズアップされる裏で、密かに苦しみを抱えている女性たちがいることをご存知でしょうか――姉妹関係に葛藤や悩み、問題を抱えている人たちです。私、麻生マリ子のもとにも、姉妹関係の悩み相談に訪れるかたがいらっしゃいます。
姉妹関係は、おなじ女性同士、同性ということもあって、複雑に絡まりがちです。
きょうだい・姉妹関係は、母親がきょうだい・姉妹をどのように取り扱うかによって決まるといっても過言ではありません。
比べられてきた、競わされてきた。要領よくかわいがられてきた、叱られて損ばかりしてきた……。
そんな扱いの差に加え、たとえばママ友のあいだでも、女の子に下の子が生まれると「お姉ちゃんが面倒みてくれるね」といった会話が交わされるほど、「姉=下の子の面倒を見るもの」というのが当然とされています。
幼児向けの絵本でも、小さい妹の面倒を姉が見ていて、妹に何事かが起きて、姉が胸が潰れそうな思いをする、といったシーンが当たり前に描かれています。
そうした社会的要請によっても、姉妹関係は形成されていきます。
ストレス源になる姉妹「ストレッサ―シスター」と姉妹関係の分類
麻生は、ご相談に訪れる女性たちの葛藤や悩み、問題の種になっている姉あるいは妹を「ストレッサ―シスター」と称しています。姉や妹がストレッサ―(ストレス源)になっている、ということです。
ストレッサ―シスターは、「シスター」が姉・妹、両方を示す言葉であるとおり、姉でも妹でもなりえます。姉がなるか妹がなるかは、姉妹関係のパターンや、問題の原因によります。
麻生は、姉妹問題を下記のように分類しています。
(1)“小さなママ”を務める子 × 子どもらしくいられる子
(2)要領のよい子 × 不器用で損をしてばかりの子
(3)暴君の子 × 隷属し振りまわされる子
(4)母と一体化する子 × 母と距離のある子
(5)認められる子 × 認められない子
(6)もらうばかりの子 × 与えてばかりの子
ストレッサ―シスターへの対策は?
では、ストレッサ―シスターには、どのように対処したらよいでしょうか?
もっとも大きな原因は母の扱いにありますが、姉妹が大人になってから、この根源から変えようとするのは、とてもエネルギーの要ることですし、効果が見られることはほぼ難しいと言っていいでしょう。
そこで、麻生が提案するのは「女性の生きかたレースから降りる」ことです。
大人になってからは特に、美醜やファッション、メイク、恋愛や結婚、妊娠、出産といった「女性の生きかた」の「勝ち負け」が、姉妹間の葛藤を生み出しています。
自ら、そのレースを降りる。放棄する。棄権してしまうのです。
特に、子どもの頃から培われてきた問題である場合、根は深いので、「変えよう」という努力をすることにエネルギーを使って消耗するよりも、「棄権」を推奨します。
また「姉妹は仲良あるべき」という幻想からも、自由になりましょう。
相手にしたくないストレッサ―シスターと、無理に付き合うことなどありません。
いかがでしょうか。
社会が姉妹愛を理想化したり、幻想化したりする裏で苦しむ女性たちの存在を知っていただけたらと筆を執りました。