台湾の立法院(国会)で、アジア初となる同性婚合法化に向けた民法改正案の審議が本格的に始まっています。改正案では、現行民法に記された「男女」「夫婦」等の用語を「双方」「配偶者」といった、性別にとらわれない表現に書き換えている。
すぐにでも実現するかと思われていたが、審議が始まると同時に反対論も噴出しています。
台湾は、以前から性的少数者(LGBTあるいはLGBTQ)への理解が比較的進んでいます。台湾シンクタンク(民間団体)が2016年に発表したアンケート調査結果によると、同性婚合法化に賛成する人は全体の47.8%であり、30歳未満にかぎると70%を超える人が賛成している。
2016年5月に就任した蔡英文総統は、「愛の前に人は平等だ。私は婚姻の平等を支持する」と発言しています。
同性愛者に対する世界の中での差別的な視点はまだ多くあります。
2004年、米ニュージャージー州のマッグリービー知事が、記者会見を開いて自分は同性愛者であり男性の愛人がいることを告白し辞任したときには世界が驚愕したが(驚愕の内容は個々人の価値観によって異なるものでしたが)、「私自身の統治能力への影響を考慮して辞任が正しいと判断した」と述べたときには、少し「?」。「同性愛者」であることと「統治能力」は無関係ではないかと感じた向きもありました。
日本では、2015年に岐阜県議会で「同性愛は異常」とヤジをとばした県議(74歳)が辞任したという事件もあり、洋の東西を問わず同性愛と政治は折り合いがよろしくない向きもあります。
一方、バチカン(ローマ法王庁)では、2014年の世界代表司教会議で「同性愛の人々を受け止めること」と中間報告がなされ世界を驚かせたが、カトリック改革に反対する勢力によって削除されました。それでも法王フランシスコ氏は、「神は新しいことを恐れてはいない」と発言しています。(法王フランシスコはtwitterを始めたときにも世界中で話題となった人物です。日本語でのツイートもあります)
現在、世界20カ国以上が同性婚および登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持ち、その国と地域は世界の約20%に及びます。
1993年までは同性愛が犯罪とされていたアイルランドでは、2015年に国民投票で同性婚を認められました。国民投票で認めたのは世界初です。
登録パートナーシップについては、1999年にフランス議会で可決された「PACS=パックス(民事連帯契約法)」が有名ですが、そもそも法律婚のメリットが少なく離婚が困難なフランスでは、結婚より規制がゆるく同棲より法的権利が認められる登録パートナーシップを選ぶのは、異性婚パックスのほうが同性婚パックスより圧倒的多数を占めています(同性婚パックスは1割程度)。
日本で同性婚が認められる日が訪れるのか現在では不明ですが、フランスの登録パートナーシップに似た「パートナーシップ証明」の発行は始まっています。2015年4月渋谷区で認められた後、2016年4月に三重県伊賀市、6月に兵庫県宝塚市、7月に沖縄県那覇市と続いています。
日本政府も、2016年6月に閣議決定した「一億総活躍プラン」の中で「性的指向、性自認に関する正しい理解を促進するとともに、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進める」と明記しています。
世界の趨勢に足並みを揃える方向であれば、(ここからは私見ですが)パートナーシップ、同性婚を認める方向に進むだけでなく、日本の場合は「養子縁組」についても今よりも簡易に行うことができるようしなければ多様性を認めることにはなりません。
親子はあくまでも血縁関係を重視し、幼い養子を迎える母親となる人は専業主婦でなければならない(働く女性は母親としてふさわしくない)との考えを改めなければ多様性を認める先進国といえないのではないかと思います。血縁の有無と愛情の有無に因果関係はありませんし、すでに日本の主婦は50%以上が働いています(パートタイム含む)。
同性愛の友人知人が多くいる私としては、好きな人との関係を世間から認めてもらいたい、養子縁組をして子育てをしたいと望む彼ら彼女たちの権利を認めてあげてほしいと思います。