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モデルという生き方

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

モデル業界もデフレ状態

仕事の関係で女性モデルが必要になった。

女子大生くらいの年ごろのモデルであれば、知り合いの女子大生や、ミス・キャンパスのネットワークを持つ男子大学生に頼めば、女子大生読モはすぐに集まるのだが、今回のイメージはアラサー女性。そうなると、プロのモデルに頼むしかない。

ところが僕はモデル事務所のネットワークが無い。昔はファッション誌のプロデュースをしていたり、広告やテレビの仕事をしていたから芸能事務所やモデル事務所はいくつも知っていたし、親しいマネジャーもいたから調達に苦労しなかったが、仕事の中心を韓流関係にシフトし、さらに社会貢献にシフトするうちに、そのような事務所やマネジャーともすっかり疎遠になってしまった。

古い連絡帳などひっくり返せば、かつて仕事していたマネジャーの連絡先も分かるだろうが、移り変わりの激しい業界なのでまだその事務所にいるかどうかは分からないし、久しぶりに連絡したらイメージにぴったり合うモデルがいなくてもその事務所のモデルを使わなきゃならないし、いろいろとめんどくさい (>_<)ゞ

どうしたものかと考えたが、今どきはモデルのマッチング・サイトみたいなのがあるのではないかと思い立ち検索してみたらビンゴ! いくつかあった。

このようなマッチング・サイトは誰でも登録ができる。なので、モデル・リストを見ても、CM出演やメジャーな女性誌の専属経験などそこそこ実績があったり、事務所に所属しているモデルもいるが、まったくの素人としか思えない女の子もたくさん登録されている。なかには「なぜ、あなたがモデルをやろうと思ったの?」と突っ込みたくなるような女子も少なくない。そのいっぽうで、ほとんどモデル経験がないと思われるが、抜群にカワイイ女の子もいたりする。

まさに玉石混交だが、気になったのはそのギャラだ。概ね1万円から2万円程度。中には数千円という女の子も珍しくない。とある地方在住の女の子など、希望価格は二千円だ。しかも、東京在住なら今回の仕事で絶対にオファーしているようなレベルの高いビジュアルなのに、である! 冗談なのか、釣りなのかとも思ったが、プロフィールで公開されているメッセージ欄を見ていると、どこかのクライアントと「交通費プラス二千円でお願いします」とか書いているので、ホントにこの値段で引き受けているようだ。

僕の感覚からすれば、この値段は異常だ。日本はデフレが20年以上も続いてきたが、モデル業界も例外ではなかったのだ。

メジャーな媒体のギャラが安いワケ

メジャーな女性誌、ファッション誌の読モのギャラが安いことは知っていた。数千円とか、ギャラ無しとかいう話は読モの女の子たちから聞いていたが、このような場合は、メジャーな雑誌に登場できるというインセンティブがある。だから、ギャラ無しでお出たいという女の子が多いということも理解できる。

僕がファッション誌のプロデュースをしていた頃(もう20年くらい前)も、雑誌の巻頭グラビアに登場したり、写真集を何万部も売るような女の子をモデルに使っていたが、ギャラは1〜2万程度しか払ってなかった。誰でも知っているようなメジャーな芸能人の場合でもその程度のギャラ、場合によっては払わないケースもあった。そのクラスの芸能人ならマネジャーも数人、さらに専属のヘア・メイクがついてくることもあるので、事務所としては完全な赤字だ。それでも出演してくれるのは、その雑誌が発行部数30万部のメジャーな雑誌だったからだ。つまり、芸能事務所もモデル事務所も、僕の雑誌に出ることがプロモーションになると媒体価値を認めてくれていたから、そんなギャラでも(無料でも)出てくれた。

しかし企業広告の場合はちょっと事情が違う。タレントやモデルはテレビや雑誌で名前と顔を売って、広告モデルで儲けるというのが基本的なビジネス・モデルだし、広告モデルはいろいろと制約が多い。競合関係がシビアなので、たとえばどこかの化粧品会社の広告に出たら、他の化粧品会社の広告には出演できない。一業種一社が原則で、どこかの企業の広告に出たら、その先の仕事の可能性がひつつ経る。だから広告モデルのギャラは高い。しかし、それでも無名のモデルやタレントは、大手企業の広告モデルなら多少安くても出る場合もある。露出が多い(テレビCMが大量に流れるとか、ポスターが大量に街中に掲載されるとか、メジャーな雑誌の広告枠で顔が出るとか)ことが確約されていれば、それがきっかけで注目されて、テレビや雑誌の仕事が増えて、他の企業広告の仕事も増えることが期待できるからだ。

しかし、このようなケースでは、クリエイティブ予算だけで数千万円というのは普通で、モデルもマッチング・サイトで探すようなことはしない。マッチング・サイトを利用するクライアントは、今回の僕のケースもそうだが、それほど多額の予算があるわけじゃないので、一流モデルは使えないけど、そこそこのモデルは獲得したいというケースだろう。また、どうやらクライアントも素人みたいな場合も多いようだ。

仕事のオファーを見ても「ヘア、メイクは自前でお願いします」とか平気で書いているし、カメラさえもクライアントのスタッフが撮影する場合も多いようだ。

ネットの時代だからそのような仕事も増えたのだろう。今どきはちょっとした企業なら必ず企業サイトを作るし、ネット通販の企業も増えたので、モデルの需要は多くなった。しかし、予算は少ない。なので、カメラもスタッフが担当、ヘア・メイクもモデルが自前という仕事も増えたのだろう。

また、ニュース・サイトも増え、個人ブログも増え、モデルを使ったフリー素材の需要も増えた。こちらも仕事量は多いが予算は少ないので、ギャラはあがらない。

モデル供給過剰の時代

安い仕事が増えた事に加えて、今はモデル自体も供給過剰だ。モデルの敷居は昔に比べてずいぶんと低くなった。

昔は、モデルと言えばみんな高身長で、ショー・モデルなら日本人女性でも170センチ以上。雑誌などのスチールのモデルでも160センチ台後半は要求されていたと思うが、読モというジャンルが出てきて、タレントがファッション誌のモデルをやるようになって、いまでは150センチ程度のSサイズ・モデルも珍しくなくなった。顔さえよければ、身長はあまり問われなくなったとも言える。モデルの敷居も身長も随ずんと低くなっているのだ。

加えて、プリクラ世代以降、特にSNS時代になってから一般の女の子たちの「撮られ方」の技術が格段に上昇した。カラオケが登場して、日本の若者の歌唱力が格段にアップしたのと同じだ。一般の女の子でも、写真撮影の時の表情の作り方、ポーズの取り方、それらのモデル・スキルは格段に向上している。

言ってみれば、今はモデルも供給過剰な時代で、それもまたモデル業界のデフレ圧力にもなっているのだろう。

モデルという生き方とは?

このような時代に、職業モデルとして生きていくのはたいへんだ。単純に計算してみれば分かる。1万円のギャラで月に20本の仕事があっても収入は20万円。実際にはここからマッチング・サイトへの手数料、事務所に所属している場合は事務所のマネジメント料。さらに源泉徴収もある。手取りはたぶん15万円を切る。2万円のギャラでも30万円。しかし、月に20本も仕事があるのはけっこうな売れっ子だ。ようするに、マッチング・サイトで登録しているような女の子で、モデル専業で食っていけてる子はほとんどいないと思われるし、実際にプロフィールを見ていると「会社員やりながらモデル活動やってます」みたいな子が多い。モデルの敷居が低くなったと言ったが、逆に職業モデルとして食っていく敷居は高くなっているのかもしれない。

ただ、ものは考えようだ。今は職業モデルとして食っていくことと、モデルとして生きることを分けて考えるべき時代なのかもしれないのだ。バンドをやったり役者をやることと同じく、表現者としてのモデルになるには、今は比較的簡単な時代だし、仕事の量自体は増えているのかもしれない。モデルで食うことは難しくても、モデルとして活動することは簡単な時代なのだろう。それは、アイドルの世界でも、メジャーなアイドルになるのは難しくても、地下アイドルとして活動するのは比較的、簡単なのと同じだ。

また、年齢的にも今は30代や40代でもモデル活動ができる。マッチング・サイトを見ていても、ママさんモデルもけっこういる。

そして、個人的にはこのような兼業モデルが増えることは悪いことではないと思う。キレイになろうと努力する女子が増えることはいいことだし、モデルの裾野が広がればトップ・モデルの質も高まる。また、これまではモデルとして世に出るには東京に住んでなければ難しかったのが、地方在住のままメジャーなモデルになれる可能性も広がる。橋本環奈が博多のご当地アイドルから全国区へと出てきたように、地方在住の女の子が、マッチング・サイトをきっっかけに注目されてメジャーなモデルとして全国区になる可能性もある。

夢を持った女の子たちの可能性が拡がるのはいいことなのだ。

夢を持った女子のみなさんには、たとえ兼業モデルであっても胸を張ってぜひ頑張って欲しいのだが、そうは言ってもモデルとして食っていきたいとか、少しでもメジャーなモデルになって活躍したいという女子もいるだろう。そんな女子のために、次回は売れるタレント、モデルは何が違うか。僕の経験からお伝えしたいと思う。乞うご期待を!

 

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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