私たちは、ずいぶん長い間、色々なことを我慢してきたのです。
さまざまな体の症状や気持ちを、自分自身の中にしらずしらず閉じ込めることによって、正しい知識も、正しい対処の仕方も曖昧なまま、もっと女性らしさを堪能して楽しめるはずの機会を逃してきたのかもしれません。
10代の初めに月経が始まってから、月に一度の身体の症状に、次の体育の授業に重なったら嫌だなとか、試験に重なったら嫌だなとか、なんとなくネガティブ行事のような捉え方だった人が多いでしょう。社会人となっても、月経前になると気持ちが揺れ動いたり、あるいは重い生理痛をごまかしながら仕事を続ける女性が少なくないはずです。
なぜ女性の気持ちは揺れ動くのか。前向きになれる時とそうでない時があるのか? なぜ更年期があり、辛い症状がでてくるのか? 女性の一生をコントロールする“女性ホルモン”についての知識があれば、自分がダメだとか、我慢をするとか、ネガティブな方向にベクトルを向けなくてもすむのです。自身の身体の変化を楽しみながら、歳を重ねていくことができるでしょう。
子宮や乳房に働きかけ、妊娠や出産を守ってくれる女性ホルモン。それだけではなく、女性の身体の全体をしっかりと守ってくれています。コラーゲンを増やし、皮膚や粘膜、骨をしなやかにする。脳を活性化させたり、血管の壁、免疫機能や自律神経にも作用し、健やかさを保つ働きがあります。
アルツハイマー型認知症は女性に多い病気ですが、閉経前の女性はほぼ発病しません。
何らかのストレスで無排卵になった高校生の学習レベルが下がるということもあるようです。
万能薬のような女性ホルモン。分泌される量はとてもわずかです。それは、一生のうちに、ティースプーン一杯分くらいしか分泌されません。ですから、女性ホルモンが激減する更年期にはさまざまな不調が出てくるわけです。
私(勝 恵子)自身も40代半ばから、月経不順が始まり、めまい、頭痛、息苦しさ、足の関節の痛み、イライラなどたくさんの症状が出てきました。はじめは更年期とは思わず、内科や整形外科、心療内科など症状ごとに病院を受診していました。また、子供が幼かったこともあり、子育ての疲れだろうと考えてもいました。
婦人科には定期的に受診をしており、漢方薬を処方してもらっていましたが、すべてが更年期の症状とは思わず、それ以上の薬は服用していませんでした。
50歳をすぎてから婦人科を受診した時、よほどひどい疲れた様子だったのでしょう、ドクターから、ホルモン補充療法がありますと教えてくださったのです。
それまでに血液検査でホルモン値が閉経並みという結果は出ていたのですが、なぜかホルモン剤を使うことに抵抗感があった私は、あと何年かで治るだろうと我慢していました。
「欧米ではごく日常的な選択です」との、ドクターのアドバイスに従い処方してもらい、ホルモン投与のためのパッチを使い始めて2週間で効果が出てきました。
汗が突然吹き出すホットフラッシュがぴたりと止み、些細なことにイライラしていたメンタルがすごく落ち着いてきたのです。これほどまでに違うとは!と驚き、いままでの不調はすべて女性ホルモンの急激な減少によるものだったという結論に達しました。私の場合はパッチの貼り薬と漢方薬の組み合わせが体質に合ったというケースで、個々人によって効果は異なるかもしれませんが。
私自身のタイミングに合わせるかのように、ガールパワー開催の、婦人科ドクター対馬ルリ子先生の「本当はとても大切なこと講座」https://girlpower.jp/archives/2959 で学びました。
さらに、対馬ルリ子先生が主催する「もっとキレイの女性ホルモン塾」に参加して、女性なのにいかに女性の身体とホルモンのことについての正しい知識が足りなかったかと実感しました。
50歳を平均閉経年齢としてその前後10年間が更年期。
昔であれば、50歳は寿命が尽きる年齢。女性の身体の仕組みは太古の昔から変わらないのに、現代女性のライフスタイルはまったく変わっています。仕事をし、初産の年齢が上がり、生涯に妊娠、出産する回数が劇的に少なくなりました。出産回数が減ることによって月経回数が多くなったことも女性の身体に負担をかけています。20代から40代の女性に子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣腫瘍や卵巣癌も増加しています。そして、平均寿命が延びた現在、閉経後の女性の人生はかなり長くなっています。それは、いまだかつて私たちが経験したことのない長い人生を健やかに生きるためにも、女性ホルモンの知識を正しく身に着ける必要があるのです。
女性の身体とホルモンの仕組みを、女性自身が、そして男性も知ることで、性差の違いを深く理解することができ、無為なトラブルも減らすことができるでしょう。
女性が月経前にイライラしたり、まるで人が変わったように快活になるのも、身体の中で起きているホルモンの変化のせいであって、性格によるものではありません。
Girlpower medicalで、女性の体やホルモンの仕組みを紐解いていきたいと思います。すべての女性が自由に生き生きとその人らしく生きていくために必要な知識なのです。