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シリコンバレーの子育て事情〜学校教育編〜

年度はじめの「ゴール設定カンファレンス」

クパチーノに移り住み早1年。
ご存知の通りクパチーノは、Apple、Google、Facebook、など、全世界に影響力を持つ企業が近隣にあり、IT企業に勤める方なら、誰もが知っている場所です。この地で生活するのは、全世界から集まる、ITを中心とした、技術者とその家族。特に多いのは、インド、中国出身者。アメリカの中でも、アジア系の移民が多く生活する拠点です。教育熱心な親たちがクパチーノ市や学校と一体となって仕組みづくりを行っています。
多様なバックグラウンドは当たり前。就学目的、将来の目標は様々。だから、親が子供の現状を捕らえて、将来の目標を見据ながら、1年後の学習のゴール設定を行い、先生と共有することはとても重要です。

子供たちが通う学校は、アメリカ人って、誰だろう?と思うほど、両親のバックグランドは様々。ほとんどの子供たちは、日常的に2ヶ国語以上の言語を使っています。英語を主に生活している子供たちばかりではありませんから、英語で授業を受ける場合、コミュニケーション能力や語彙力の差が、理解度に大きな影響をもたらします。日本語であれば、難なく理解できることでも、英語だから理解できないのか、説明している事象自体が理解できないのか?親も、先生も子供の現状把握が難しくなります。
そのため双方が充分な共有を行い、家庭で出来ること、学校への要望などをすり合わせて、子供の1年後の成長に向けたゴールを共有することは、必然ともいえます。

具体的には、以下のヒアリングが行われます。
・兄妹、その年齢は?
・親から見た、子供の強みは?
・学校で、子供が好きな活動や、科目は?
・学校生活において、子供のどんなところを見守っていますか?
・家庭生活において、子供のどんなところを見守っていますか?
・どうやって、子供の主体性を引き出していますか?(子供のモチベーションは何?)
・必要なサポートは何ですか?
・親が望む、1年後の子供のゴールは何ですか?
・放課後、どこもが取り組んでいる活動は何ですか?(習い事など)
・日常的に学校で遊んでいる友達の名前は?
・その他

上記内容を事前に先生に提出し、カンファレンスの際は、先生が把握している子供の現状とゴール案の提案があり、摺り合わせをおこないます。

日本の小学校も面談があり、同じ様なことがおこなわれていましたが、その重要性を理解していなかったように思います。同じ日本人だから、分かり合えているはずと思い込んでいました。実は、価値観が異なる家庭の中で育ち、子供の数だけ、多様な目標があり、多様な強みがあり、多様な学習計画、学習方法があるはずです。

アメリカの場合、多様なのは当たり前。つまり、お互い、意見を交わさなければ理解し合えないという前提があります。学校は、親の教育についての要望を聞く義務があると、法で決められています。(応えなければならないわけではありません。)意見を言わない人は、意見がない人として、扱われます。決して、モンスターペアレントではありません。未来に向けた、子供のための前向きな要望だからです。

皆さんは面談の機会をどのように捉えていますか?私は、学校の集団活動の中で迷惑をかけていないだろうか?勉強から遅れを取っていないだろうか?どちらかというと、足りないところを補うための意見交換をおこなっていました。日本の教育システムは、とてもすばらしいと思いますが、定められた教育カリキュラムをこなしているだけで満足することなく、子供の特性を伸ばす、貴重な時間を充実させる学校生活になるよう、1年後のゴールを先生と共有し、子育てのマイルストーンの機会として、学校の面談を活用しても良いかもしれません。10年後、「あなたが貢献できることは?」が、今以上に求められる社会になっていると思います。その時、子供たちが自信をもって語れるものを持っていて欲しいですよね。

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Toco

約10年企業の人事・労政部門で、女性活躍推進、ワーク・ライフバランス、働き方の改革などを担当。キャリアカウンセラーとして、次世代を担う子供たちのキャリア教育などを研究。2015年8月より、家族4人(9歳の息子、5歳の娘)で、アメリカ、カリフォルニアクパチーノで生活。

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