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鈴木貴子議員の妊娠を批判しているのはいったい誰なのか?

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

鈴木貴子議員の妊娠に「職務放棄」の批判の声?

衆議院議員の鈴木貴子氏が自身のブログで妊娠を発表。9月中旬頃の出産予定だそうだ。

おめでたい話で、鈴木氏のブログには「おめでとう」のコメントが多数寄せられている。ところが、そのいっぽうで「(国会議員の)任期中に妊娠なんていかがなものか」「公人としての自覚がない」「職務放棄か」などの批判の声も寄せられているという。

鈴木貴子衆院議員、妊娠批判の声に「大変な思いしている女性が多いということ」 ブログで第一子報告

今どき、ちょっと考えられないような酷い批判だが、いったいこのような批判をしているのはどんな人たちなのか、気になって調べてみた。

ところが、どうも批判の声というものが見つからない。

Google検索はもちろん、twitterで検索しても鈴木議員の妊娠をdisっているツイートがほぼ皆無だ。

強いて言えばこちらのツイートくらい。

こちらのツイートの主はゴリゴリの安倍政権批判派のようで、その政治的バイアスからこのようなdisになっているようだが、それでも正面切って鈴木氏の妊娠を批判しているワケでもない。

鈴木氏のブログを見ても、お祝いのコメントばかりで、批判コメントは皆無だ。

いったい、批判の声はどこにあるのか?

考えられるのは、鈴木氏のブログに批判コメントが書き込まれたが、それらの批判コメントが削除された。あるいは、Facebook等で鈴木氏に対して直接、批判メッセージが送られているか。いずれにしても、ブログやtwitterなどで公然と鈴木氏の妊娠を批判している投稿は見当たらない。

これは何を意味しているかというと、批判している人間は実は「女性議員の妊娠」を批判しているのではなくて、単に政治家としての鈴木氏が気にくわないと言っているだけなのだ。このような人たちは、鈴木氏を批判できればなんでもいいわけで、それが今回、たまたま妊娠のニュースだっただけのことだろう。

もちろん、だからといってこのようなdisが許されるわけもない。また、「女性議員の妊娠を批判する声があった」というニュースが流れること自体が、多くの女性たちに余計な社会的圧力をかけてしまう。さらに言えば、子のニュースによって、いまだに日本社会が抱えるある潜在的な問題も浮き彫りになっている。

それは、批判の声がネットの中にほとんど見当たらないにもかかわらず「批判の声が」というニュースがリアリティを持ってしまっていることだ。

実際、「鈴木氏の妊娠に批判の声」というニュースを受けて、twitterでも「批判に対する批判」の投稿が溢れている。これは、「批判の声」というニュースに、多くの人がリアリティを感じているということだ。もしかしたら「批判の声」というものがフェイク・ニュースかもしれないのに、裏付けも取れていない記事なのに、多くの人が真実だと信じてしまっている。それはなぜか?

それは、現実の社会で、女性社員の妊娠を歓迎しない空気感がまだあるからだと思う。

企業社会の中で女性社員の妊娠は歓迎されているか?

今どきは多くの企業で産休・育休制度も充実してきているし、以前に比べれば制度利用もしやすくなっていると思う。

しかし、総合職女子、特にようやくチーム・リーダー、プロジェクト・リーダーとして育ってきた30代前半くらいの年代の総合職女子にとっては、妊娠・出産・子育ては大きな決断が必要だし、オヤジ上司の中にはあからさまには言えないまでも、内心では「子の大事な時期に、妊娠なんかしてんじゃね〜よ」と思っている人間もまだ多いだろう。

また、そのようなマタハラとは逆に、女性社員に気を遣いすぎて、かえって女性社員に心理的負担をかけてしまうこともある。たとえば、キャリア・ステップの重要な節目の時期に、結婚や妊娠の報告をすると、会社が気を遣ってその女性社員を楽な業務や部署に配置転換してしまうようなケースだ。もちろん、仕事が楽になって喜ぶ女子社員もいるだろうが、結婚や出産によって重要なポストを外されたくない女性もいる。それで、会社も女子社員もなにやらギクシャクしてしまうケースもある。

つまり、日本の企業社会においては、いまだに仕事と出産・育児が上手くこなれてないのだと思う。

企業社会でそこがこなれてないから、女性議員の妊娠に批判というニュースがリアリティを持ってしまうのだ。

今回の鈴木議員の一件は、そのことをあらためて露呈させてしまった。

では、このような空気感を変えるにはどうすればいいのか?

それは、以前にも書いたが、子育てに関して緩い社会を作ることだと思う。

金子議員の公用車での保育園送迎問題では、公私のけじめとか公用車使用ルールの厳格化を言いつのる蓮舫や東国原のような人たちもいたが、出差、育児に関してはゴチャゴチャ言わない。

女性議員が国会会期中に出産しても、総合職女子が課長昇進直前に妊娠してもゴチャゴチャ言わない。

子育てママには、議論自体、ニュース自体が社会的圧力になってしまうが、「ゴチャゴチャ言わない」が社会的なコンセンサスになれば、議論もニュースもなくなるだろう。早くそのような社会になればいいと思う。

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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