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「豊田真由子」という病とハイスペック女子の心得

典型的ハイスペック女子が陥った罠

秘書に対する「このハゲ〜」などという罵詈雑言を録音した音声データが公開されて大バッシングを受けている豊田真由子衆議院議員。報道でもご存じかと思うが、桜蔭の中高から東大法学部。卒業後は厚生省(当時)にキャリア官僚として入省。そして国費留学生としてハーバード大学大学院に留学。そこから衆議院議員に転身。結婚もしており、夫は国交省のキャリア官僚。一男一女の母でもある。見事な経歴。まさにハイスペック女子の鏡のような女性だ。

しかし、その輝かしい経歴も、今回の騒ぎでケチがついてしまった。自民党には離党届を出すハメになり、次の選挙では落成の可能性も高い。政治家は選挙に落ちればただの人。4年間で100人もの秘書が辞めていくほどの人徳の無さでは、浪人中に支援してくれる人もいないだろうし、選挙に出る度に例の罵声音声がニュースで使われるだろうから、まあ人気回復は難しい。身から出たサビとは言え、お気の毒なことではある。

しかし、ハイスペック女子の皆さんにとっては、豊田真由子氏の今の状況は他人事ではない。あそこまで極点ではないにせよ、ハイスペック女子はみんな「豊田真由子」とう病に罹ってしまう危険性があるからだ。

なぜ、豊田真由子氏はあのようなキレキャラになってしまったのか? 政治評論家で元経産官僚の八幡和郎氏は彼女がハイスペック女子故にああなってしまたと指摘する。

つまり、エリート校から官僚となった。その人生の大半を優秀な人たちとの関わりの中で生きてきた。まあ、東大を出た人や官僚のすべてが優秀で仕事ができるとは限らないが、間違いなく学習能力は高く、それは事務処理能力が高いことを意味する。エリートはそのような人たちとしか交わることがなく、それが当たり前だというマインド・セットを形成してしまいがちだ。

しかし、政治家の秘書は玉石混交。優秀な人もいるが、官僚と比べれば事務処理能力に劣る人もいるだろう。そして、公簿で政治家になった人間には、大物政治家のバックアップも少なく、ベテランの優秀な秘書がつくことも少ないだろう。

実際、公開された音声データなどからは、罵声を浴びせられ車内で暴力までふるわれた秘書のミスも明らかになっているが、後援者に送る書面の宛先と宛名を40通以上も間違えている。これは、政治家の秘書としてはあり得ないミスであり、豊田議員が怒るのも無理はない。

まあ、だからといってあの罵声はいただけないし、暴力は御法度だが、豊田議員からすれば、この秘書は日頃から「使えないヤツ」と感じさせる人物だったのだろう。しかし、ここにエリートが陥る罠がある。

勝負とは「タラレバ」ではなく手持ちの駒でやるもの

大企業を辞めて起業した人間もそうだが、エリートは優秀な人間だけを集めてビジネスや政治をやろうとする。中には、自分には優秀な人間が集まってくると勘違いしている人もいる。

しかし、世の中には優秀な人ばかりでないし、エリートの周りに優秀な人が集まるのは大企業や霞ヶ関などの看板があるから集まるのであって、そのような看板を失ってしまえば、優秀な人だけを集めることなど不可能になる。

しかし、エリートはそのことが感覚的に分からないから、起業したり政治家になったりした時に、なんで自分の周りにはバカばかり集まってくるのかと憤る。だから、豊田議員のようなキレ方をする。そこがエリートの陥る罠だ。

エリートには分かってない人も多いようだが、ビジネスも政治も同じだが、勝負とは手持ちの駒を使ってやるものだ。優秀な社員がいたらとか、優秀な秘書がいればとか、タラレバで勝負するものではない。タラレバでは決して勝てないし、タラレバばかり言ってる人間は婚活と同様、良縁が得られない。

というか、自分の周囲に優秀な人間が集まってこない。バカばっかり寄ってくるのは、そもそも自分にポテンシャルがないからだ。肩書きを外し、看板をなくしてもなお優秀な人を惹きつけるだけの人間力がないからだ。

そして、優秀な人間を惹きつける人間力とは、そのような謙虚さから出発するものでもある。

エリートには、特に男性に多いのだが、自分のことを頭がいいと思っている人も多い。しかし、ソクラテスではないが「無知の知」こそが知性の出発点だ。人間力も同じだと思う。無能な人間ばかり集まってくるのは、自分が無能だから。そのような謙虚さが人間力の出発点だと思う。

近年、再ブームになっている田中角栄は、せっかちで知られているがエリート官僚たちに細かい注文をつけたり、怒鳴りつけるようなことは決してなかったという。小学校しか出てない田中角栄に、東大や京大を出たエリート官僚たちが心酔していたのも、人のプライドを大切にする謙虚さを田中角栄が持ち合わせていたからだと思う。

ハイスペック女子のみなさんが豊田真由子にならないためにも、小学校卒の田中角栄から学ぶことが多いだろう。くれぐれも、自分の優秀さに酔わないように注意しよう。豊田議員にもぜひ田中角栄を勉強して欲しい。「豊田真由子」はけっして不治の病ではないのだ。

(追記)

豊田真由子氏が秘書に対してぶち切れた直接的な理由が判明。

彼女は毎月、支援者に直筆のメッセージ付きバースデー・カードを送っていたのだが、6月分47人分の宛名を「全員(!)」間違えて送ったという。送ったのは別のスタッフだったが件の男性秘書が責任者として叱責されたということだそうだ。

豊田議員でなくとも罵倒したくなる重大なミスではある。

しかし、そのようなミスを犯す人間を雇ってしまった(雇わざるを得なかった)のは自身の責任であり、このようにボイス・レコーダーで録音されてマスコミにたれ込まれてしまったのは、やはり自身の不徳によるものだと言わざるを得ない。

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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