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三浦瑠璃はほんとうにブスなのか?

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

ネットに散見される三浦瑠璃氏に対する「ブスのくせに」という中傷

今日(6月18日)の「ワイドナショー」を見ていたら、松本人志が三浦瑠璃に対してさかんに照れていた。

(参考)
松本人志、三浦瑠麗氏の女王様”口撃”に照れ笑い! 「名コンビ」と話題に

そのテレ方が尋常ではなく、「松本って、そんなに三浦瑠璃のことが好きなの?」と思わせるくらいの照れ方だったが、本稿で書きたいのはそのことではない。

番組最後に加計学園の話題になったのだが、その時の三浦瑠璃のコメントは、この問題の本質をテレビ的な尺で的確に伝える見事なものだった。ガールパワー・インサイトではあまり政治的なことは書かないようにしているので、そのコメントの紹介は差し控えるが(書くとまた政治的な話になってしまう)、そのコメントを聞いて彼女のことが気になって調べてみた。

近年、テレビにもよく出ているのでご存じの方も多いと思うが、三浦瑠璃氏は日本の国際政治学者。東大理一に入学して同大学農学部生物環境科学課程地域環境工学専修に進んだ理系女子だが、卒業後は東京大学大学院公共政策学教育部(公共政策大学院)専門修士課程、法学政治学研究科総合法政専攻博士課程と進んだ法学博士。現在は東京大学政策ビジョン研究センター講師、株式会社山猫総合研究所代表などを務める。1980年生まれの36歳。新進気鋭の政治学者であり、バリバリのハイスペック女子である。ちなみに、学部生時代に先輩とデキ婚したそうで、一児の母だそうだ。

そんな三浦氏であるが、彼女をブス呼ばわりする声がネットで散見される。「三浦瑠璃とかいうブスなコメンテーターをテレビに出すな」というタイトルのスレッドが掲示板サイトでも立っているし、彼女を「ブスでデブ」とディスっているツイートもある。

これはちょっと意外である。自称・美人評論家の僕から言わせてもらえば、三浦瑠璃氏は学者としてはかなりの美人。テレビなどに出演するメディア女子としてもけっこうな美人だ。

これは僕の主観ではない。たしかに美人とかカワイイとかは主観的なものだし、客観的な基準値があるわけでもない。それでもやはり、ある程度の客観性というものはある。

たとえば、北川景子は誰が見ても美人だし、石原さとみは誰が見てもカワイイ。それは、北川景子や石原さとみが好きか嫌いかという主観的な評価とはまったく別ものだ。北川景子のようなタイプの女性を嫌いだという人でも、彼女のことを美人だと認めざるを得ないだろう。それを、北川景子はブスだと主張する人は、よほど審美眼が狂っているか、感情バイアスが強すぎて(たとえば、北川景子のような気の強そうな女は大嫌いとか)「ブス」と言ってしまうかのどちらかだろう。

三浦瑠璃氏は客観的に見ても美人の部類に入ると思う。それを「ブス」と言ってる人たちは、たぶん感情バイアスが強すぎる人たちだろう。ましてや「ブスでデブ」と言っている人はそうとうにバイアスが強い。まるで客観性がない。彼女がデブなら、モデル以外のすべての女性はデブということになる。

というわけで、ネットで三浦瑠璃氏を「ブス」とディスっている人たちは、感情バイアスが働いているわけだが、なぜにそのようなバイアスがかかるかというと、まず彼女が保守派の論客とされているからだろう。ネットにはネトウヨと言われる人たちがいる一方で、保守派のことはなんでもかんでもディスる人たちもいる。前述の理由で、そのことについては詳しくは述べないが、保守ヘイトの左翼の人たちからすれば、三浦氏はかっこうのターゲットである。

しかし、僕は「三浦瑠璃はブス」という言説に、政治的なスタンス(右翼とか左翼とか)から来るバイアス以上に根深いバイアスを感じる。それは、ミソジニー、つまり女性に対する偏見や嫌悪感である。

男性がハイスペック女子を「ブス」と罵る時の心理とは

ネットで三浦氏を「ブスのくせに」と罵っている書き込みを注意深く見ると、政治的なスタンスからくるもの(保守派が嫌い)もあるが、「クソ生意気」「上から目線」というディスの方が多いことに気づく。

結局のところ、彼ら(三浦氏をブスとディスっている人たち)は生意気な女が嫌いなのだ。

正直に言って、僕は三浦氏のことを生意気とも上から目線とも思わない。個人的にはこのような、ハッキリとものを言う女性はタイプだが、まあ、それはさておき、この「三浦瑠璃はクソ生意気」というディスには典型的なハイスペック女子問題が垣間見える。多くの日本男性には「ハイスペック女子=クソ生意気な女」という感情バイアスが根深く、かつ広範に存在するということだ。

しかし「ハイスペック女子=クソ生意気な女」という感情バイアスが働く男性がいることは理解できるが、なぜそれが「ブス」に結びつくのか? 女性を「ブス」と罵る時の男性の心理とはどのようなものか?

それは女性の自意識に対する批判である。

どこかの女性の自意識が過剰であると感じた時、男性はその女性に対して「ブス」という呪詛の言葉を投げかける。(女性も同様に投げかける場合もある)

この場合、ビジュアルの美醜は関係がない。たとえビジュアルが残念な女性に対して「ブス」という時も、実はその女性のビジュアルがブスだと言っているワケではない。「不細工なくせして、何を勘違いしてんだ!」と言っている。つまり、その女性の自意識に対してディスっているわけだ。その女性のビジュアルと自意識のバランスが適切であると感じた場合、男性はあまりその女性を「ブス」とか言って罵らない。

ブスと言えば、今日のワイドナショーでも「日傘を差している女はブス?」という話題もあった。ネット掲示板では「日傘さしてる人ってブスかデブかババアじゃない?」というスレッドもあるし、質問サイトに「ブスが日傘を差すのには意味があるんですか?」という嫌がらせのような投稿をする人もいる。

「日傘を差している女はブス」という人たちは、「日傘を差している女の自意識が過剰でウザい」と言っているわけだ。もちろん、日傘を差している女性の自意識が過剰かどうかは主観的なものだし、それを過剰だと感じても「ブス」と罵っていいわけではないが、罵っている男の(女性の一部も)心理はそういうことだ。

なので、三浦氏を「ブス」と言っている人たちは、「三浦瑠璃の自意識が過剰でウザい」と言っているワケだ。しかし、テレビに出演する女性の文化人タレントとしては、この程度の自意識は普通だ。むしろ、この程度の自意識がなければテレビ文化人としては失格だろう。また、もっと自意識過剰と思われる女性文化人もテレビに出ている。それなのに、なぜに三浦氏は自意識過剰だと思われ、ブスと言われるのか。

それは彼女が国際政治学者だからと思う。しかも美人だ。

世間ではあまり理解されていないが、実は美人はある意味で差別されている。実力や熱意を過小評価されるという差別だ。ミス・キャンパスが社会貢献活動をしたり、読モがバンドを組んでも、シリアスな活動としてなかなか認められない。「ミス・キャンパスや読モがチャラチャラやってんじゃねーよ」という罵声が浴びせられる。

三浦氏に対するディスも、同様のバイアスを感じる。「美人がチャラチャラと政治とか語ってんじゃねーよ」というのがディスっている人たちの本音のところだ。もし、三浦氏が国際政治学者ではなく弁護士とか医者だったり、あるいは社会学者や脳科学者だったら、このような理不尽なディスも受けなかったと思う。政治学者だから、「なんかむかつく」という人(主に男性)が出てくるのだ。

このようなミソジニー(女性嫌い)は非常に根深く、変えていくのは難しい。人の感情バイアスは基本的に変わらないからだ。しかし、社会的な空気感は変えることはできる。それは数の力だ。

今は女性弁護士も普通になったが、たぶんかつてはその数も少なく、そのような時代にテレビに女性弁護士がコメンテーターとして登場したら「女のくせに、弁護士とか上から目線で語ってんじゃねーよ」とか言う人も多かったのではないだろうか? それが、女性弁護士の数も増えて、テレビでも普通に見るようになり、女性弁護士がテレビ何かを喋っても生意気とは言われなくなった。

政治の世界も同様だ。まだまだ女性議員の数は少ないとはいえ、昔に比べれば表だって活躍する女性議員もずいぶんと増えた。そして、女性議員がなにかを主張しても、以前ほどは「生意気」とは言われなくなった。

同様に「国際政治学」などの「男の領域」に女性がどんどん進出することで、社会の空気感は変えていける。そのためには、女性が自分たち自身で頑張るしかない。男性は、そのような女性を応援したり支援したりはできるだろうが、社会問題の解決は結局のところ、当事者がやるしかないのだ。

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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