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スマホアプリで婚姻・離婚届を購入するわけは?

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池内ひろ美
ガールパワー代表理事 夫婦・家族問題評論家 家族問題コンサルタント。日本ペンクラブ会員。八洲学園大学教授(女子学・家族論)

スマホアプリ「メルカリ」で現金やチャージ済Suicaの販売がされ問題となっていますが、それよりも私が驚くのは、婚姻届や離婚届が販売され、購入されていることです。

行政サービスで手に入れることのできる無料の届け出用紙にはさまざまあります。
引っ越したときの転入・転出届や、子供が生まれたときの出生届、死亡届、もちろん婚姻届けも離婚届も窓口で無料で受け取ることができます。
なぜ無料の婚姻届けや離婚届をスマホアプリで有料(300〜700円)で購入するのかといえば、それは、「窓口へ行けば無料」であるからです。

つまり、役所の窓口へ足を運ぶことができない、足を運ぶことをしない人たちにとってニーズがあるものです。

役所の窓口へ足を運ぶことができない人たちとは、たとえば昼間の時間仕事をしていて役所へ行くことができない人、病気などで外出困難な人、DV被害者など自身の行動に制約がかけられている人などさまざまな理由がありますが、つまり役所へ出向くのが不便な人たちが一定数いらっしゃるということです。

次の理由としては、役所へ出向くことはできるが、窓口職員と会話をするのを億劫に感じる人(簡単にいえば、人と話をするのを「ウザい」と思う人ーーー実際に、私のところへご相談来所された方の中にもいらっしゃいました。彼は次のように説明してくれました)
「ウザいんですよ。役所の人間に向かってなんで俺が頭を下げて離婚届をもらわなきゃいけないんですか。変な目で見られるかもしれないし、近所の人が窓口の近くにいるかもしれない。そんなのが全部ウザいから、もし(池内ひろ美が離婚届を)持っていたら分けてくださいよ」
私は、サンプルとして離婚届を持ってはいますが(こういった書式のものですよとお見せするため)、それは、彼らに渡すためではありません。

ずっと一緒にいましょうと約束してはじまった結婚を終えるのが離婚ですから、その離婚の理由が何であれ、きちんと悩み苦しみ時間をかけて結論を出すのも大人の責任です。
その入口である離婚届の受け取りは、時間を工面し、恥ずかしい思いをしても届出書を自分で取りに行くというのも離婚し新しい生活を始めるための大切なプロセスのひとつと感じます。

ところが、フリマアプリで300円で売っている。
となれば、役所へ行くバス代より安いからと購入する人も出てきます。

フリマアプリで婚姻届を購入する人と離婚届を購入する人のメンタリティは少し異なるかも知れません。

婚姻届の場合は、官製の届出書より個性的な(たとえば「名探偵コナン」の婚姻届など)他の人とは違う「特別な婚姻届」を求めて購入する人もあるでしょう。

ところが離婚届の場合は官製品と同じです。フリマアプリでは記入方法など説明書きを添えて売っていますが、それも役所窓口でも記入説明書は添付されています。それなのになぜフリマアプリで(有料で)購入するのでしょう。

そこには、先の彼が言うように、「役所の窓口職員に頼んで離婚届を受け取るのがウザい」という理由があります。

彼らの中には、フリマアプリで培った万能感もあるかもしれません。
フリマアプリでは自分で値付けをして販売します。わが子にサイズの合わなくなった子供服やバッグに(自分で適切と思う)値段をつけて販売します。なかには、牛乳パックの空パックやペットボトルのキャップを販売している人もあります。これは、子供が学校の工作で必要なものとして販売されますがーーー自宅でお母さんが牛乳パックやキャップを一つ一つ洗って保管してわが子の工作に使えるようにしてあげるのではなく、数百円で買えるなら手間暇かけて準備するより買えばいいじゃないという発想でしょうか。

フリマアプリの中にはなんでもある。そんなフリマアプリで培った万能感が根っこに流れていると感じます。ネットでは、ウザいと感じるものは削除したりブロックすればいい、自分にとって耳障りのいい、都合のいいものだけとつきあっていけばいい。それを繰り返すことによって取り返しのつかない万能感に陥ることがあります。

ご相談に来所なさる方の中にも、ネットでさまざま情報を調べて自己流で恋愛や結婚、離婚に向き合ってきた結果すっかりこじらせてから相談来所なさる方もあります。
ネットにあるものは玉石混淆。とくに離婚にかんしては誤った情報が多くあります。ある人の体験をそのまま自身に当てはめて「同じようにできる」と思い込み、こじらせてしまうことが多々あります。
そんなとき、もう少し早くご相談に来てくださっていたらよかったのにと思うことがあります。けして私への相談がすべてなわけではなく、まわりの友人や大人の意見に少しでも耳を傾けていればここまでこじれさせなかったのにな、と残念に思います。

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池内ひろ美

池内ひろ美

1961年生まれ。夫婦・家族問題評論家。家族問題コンサルタント。日本ペンクラブ会員。八洲学園大学教授(女子学・家族論)。
一般社団法人日本女子力推進事業団(Girl Power)代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。一般社団法人全国危機管理推進事業団理事。一般社団法人国際教養振興協会顧問。
所属:よしもとクリエイティブ・エージェンシー

■著作
『とりあえず結婚するという生き方』ヨシモトブックス
『大好きな彼に選ばれるための25の法則』スターツ出版
『結婚の学校』幻冬舎
『妻の浮気』新潮新書
『良妻賢母』PHP新書ほか(31作品)

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