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メルカリで現金「5万円」を「6万円」で買う人たちと坂口杏里のことなど

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

メルカリで1万円札などの現金を高額で販売する取引が禁止となった。

と言っても「意味が分からん」という人のために簡単に解説しておく。

最近、フリマ・アプリのメルカリで「現金」を額面以上の高額で販売するケースが急増していた。

たとえば「1万円札を5枚」つまり「五万円」を「67000円」などの価格で販売するというケースだ。

一瞬、意味が分からないという人も多いだろう。

「5万円」の現金をなぜ「6万円以上」の高値で買う必要があるのか? とうか、そんなものを買う人がいるはずがないと。

しかし、現実にはこれがけっこう売れていたりする。

この摩訶不思議な「商売」が、4月22日にツイッターで話題となり一気にネット上で拡がったので、ご存じの方も多いかもしれないが、購入した人はなぜ、額面以上の金額で現金を購入する必要があったのか?

「新手のマネーロンダリングか?」と思うかも知れないが、反社会的勢力がマネーロンダリングする方法としては金額が細かすぎる。あまりに効率が悪いのだ。

そこで、ネット上でささやかれていて、説得力ある推測が「新手の貧困ビジネス」というものだ。

つまり、借金やローン返済のために現金が必要だが手元にない。クレジットカードのキャッシング枠は目一杯使ってしまっているのでキャッシングもできないという場合に、ショッピング枠でメルカリで「現金を買う」。そして、ローンの支払いに充てるという推測だ。

これは説得力がある。

一昔前に似たような借金の方法があり、社会問題になったことがある。

いつの時代にもはびこるクレジットカード詐欺

たとえば、現金が必要な客に商品を買わせる。商品はビー玉とか石けんなど安価なモノだが、これを30万円とか50万円で買わせる(ショッピング枠の限度額まで)。そして、10万円などの高額な手数料を差し引いて客にキャッシュバックしたり、さっき売りつけた商品を買い戻す。たとえば、50万円で売りつけたビー玉を40万円で買い戻す。すると客の手元には40万円分の現金が手に入る。もちろんクレジットカードで50万円分の支払いをしているので、月末などの支払日にはカード会社から50万円分の請求が来る。

業者がカード会社と契約ができなくて、このような商売ができない場合は、客に指定した電化商品やパソコンなどを購入させ、それを買い取る。たとえば、50万円分の高額なカメラなどを量販店で購入させ、それを30万円などの金額で買い取る。この場合も客はとりあえず30万円のキャッシュが手に入る。もちろん、支払日には50万円の支払いが必要となるが、、、

このようなクレジットカード詐欺とでも言うべき行為は、大きな社会問題になったこともあり、法律でも禁止されクレジット・カード会社も疑わしい買い物は承認拒否するようになったりしてすっかり下火になった。

それが、メルカリを利用した新たな「詐欺」まがい商法を生み出した。

その背景には、現行通貨の取引を禁止していたメルカリが、コイン・マニア、紙幣マニアの要望に応えて、現行通貨の取引を解禁したことにあるようだ。印刷ズレした紙幣や穴ずれした50円玉など、プレミア価格がつく通貨はマニアにとっては垂涎のものだし、そのような希少通貨の高額な取引には違法性はない。

しかし、詐欺師とうか犯罪者集団というのはある意味でめざとい連中で、この仕組みをクレジットカード詐欺に活用した。というのが、今回の「現金を額面以上で販売する」という商売の正体のようだ。

もちろん、こうやって買った「現金」は、実質的には違法な金利の借金だ。

放っておけばまた大きな社会問題になりかねない。ということで、メルカリは4月24日にこのような現行通貨の取引を禁止。昨日(23日)には大量に出回っていた「現金」商品が、外国通貨や記念硬貨などのマニア市場向けの除いて一掃された。

ただ、この件はそれで「めでたし、めでたし」となるわけでもない。たぶん、また新手の似たような商売が生まれてくるだろうからだ。

メルカリで現金を買う人と、3万円の恐喝で逮捕された坂口杏里

しかし、このような「5万円を6万円で買う人たち」のことを「バカじゃないの?」と思うことは簡単だが、追い詰められたら理性を無くすのもまた人間である。

先日、元バラエティ・タレントでAV女優として活動する坂口杏里が、知人(つきあっていたという話も)のホストから3万円を恐喝しようとして逮捕された。

かつての人気女優・坂口良子の娘ということもあって、なにかとマスコミ・ネタになりやすいことが分かっていての逮捕劇。しかも罪状が恐喝未遂では、いかにもイメージが悪すぎる。これでは、テレビはもちろん使えないし、AV女優としてもどうか? よほど怪しげなメーカーでもなければ、このような警察沙汰になった女優は使いたくないはずだ。彼女のタレント生命は完全に断たれたと言っていい。

なりたいと思ってもそう簡単になれるものでもないバラエティ・タレントの座をホストクラブに耽溺して棒に振り、たった3万円の金で自分の人生をどん底にまで突き落としてしまった坂口杏里のことを「バカだ」と断じるのは簡単だが、しかし、これを彼女ひとりの個別の問題であるとして片付けられるものでもないと思う。

メルカリで現金を買う誰かにも、坂口杏里にも、共通するある日本の若者の闇というものを感じるからだ。

日本の若者たちを覆う底なしの闇

先日、夜の10時頃。所用があって新宿駅東南口の広場あたりを歩いていた。場所柄、この時間でもかなり多くの人が行き交っていたが、その中で道行く人たちとはちょっと異質な若いカップルが目についた。二人とも見た目は二十歳前後の若者。揃いのジャージを着ていて一目でカップルだと分かるのだが、その二人の傍らには小さな段ボール箱をくくりつけたカートが置いてあったのだが、異様なのはその段ボール箱の上に、折りたたんだ少し大きめの段ボールがくくりつけられていたことだ。

その若いカップルはどこかに行く風でもなく、広場にボーとたたずんでいた。その様子と折りたたんだ段ボールをくくりつけたカートの存在がとてつもなく異質な何かを感じさせた。

いったいあの段ボールは何を意味するのか?

あくまで推測ではないが、このカップルはネットカフェでさえ滞在できない貧困カップルだったのではないか。段ボールは、つまり彼らにとってのベッドだったのではないか。そんなことを思わせる光景だった。

ここ数年、若者の貧困化が大きな社会問題として取り上げられているが、そのような若者を目にすることは実はまれでもある。年配の浮浪者と違い、若い貧困層は分かりにくい。しかし、見えないからこそ、その闇は深いとも言える。

今の世の中には、たった数千円で身体を売る貧困少女もいる。そのような少女があるルポルタージュでインタビュアーに語った言葉は僕には衝撃だった。

「コンビニで買い物とか、セレブじゃん」

この言葉を読んだ時はほんとうに衝撃だった。そして今、こうして書いていても涙が出そうになる。

もちろん、日本にも昔から貧困層はいたし、ホームレスもいた。もちろんドロップアウトする不良もいた。

しかし、今の日本の若者を覆う状況は、なにやら異質なものを感じる。わずか10代で人としての尊厳を奪われている。そのような違和感、異質な感覚だ。

コンビニで買い物することがセレブなら、クレジットカードで「現金を買う」ことができる人間など超セレブの部類に入るだろう。しかし、僕にはメルカリでお金を調達する者(たぶん若者)も、ホストクラブに入れあげて身を持ち崩した坂口杏里も、ホームレスカップルも激安で身体を売る少女も同種の人間に見えてしまう。そして彼ら、彼女たちの存在に、なにかとんでもない闇が日本を覆っているように感じてします。

その闇の正体が何かは、残念ながらまだ分からない。対象化できていないと言った方が正しいのだが、、、

ただ、単純に格差社会だとか貧困の連鎖だと言って片付く問題でもないと思う。また、彼ら、彼女たちを支援することは、もしかしたら従来のホームレス支援以上の困難さがあるようにも感じる。つまり、有効な支援策もまた見つけることが困難だということだ。しかし、その見えにくい「何か」の正体を見極められなければ、日本の社会はどんどん崩壊してしまう。若者たちの有り様は、いつの時代でもその国の社会の未来図だからだ。僕も引き続き、その正体を探り続けたいと思う。

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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