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女性活躍推進の「見えない壁」とハイスペック女子問題

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竹井善昭

プロデューサーGirl Power
ガールパワー・プロデューサー 株式会社ソーシャルプランニング代表取締役 マーケティング・コンサルタント メディア・プロデューサー

「ガラスの天井」という言葉があるように、政府が進めている「女性活躍推進」にも「見えない壁」が存在する。

その壁は、おおむねジェンダー・バイアス、つまり「文化の問題」なので、法整備や政策だけではなかなか崩すことが難しい、やっかいな障壁だ。

ここで言う「文化」とは、「男性文化」のことだけではない。母親や女性自身がかかえる「女性文化」もまた、女性活躍推進の見えない壁になりえる。女性が社会進出して、自由に活躍できるようになることを、女性が阻害することもあるのだ。

たとえば、アメリカにおいて女性の参政権が認められたのは1920年のことだが(州によってはそれ以前から)、その女性が参政権を持つことに最も強い抵抗を示したのは富裕層の女性たちだったという。「女性が政治に参加するなど、はしたない」という理由だ。

女性に対するジェンダー・バイアスは男性だけなく、女性にもあるということで、そのバイアスが、女性の活躍推進を阻むこともあるということだが、とまれ、「女性活躍推進の見えない壁」とは、この(男性にも女性にもある)ジェンダー・バイアスの事に他ならない。

日本の企業社会を蝕む「ハイスペック女子」問題

この「見えない壁」は多種多様であるが、ガールパワーでは主に4つのクラスター(カテゴリー)に、大きく堅固な壁があるとして、その問題に取り組んでいる。

そのクラスターとは「ハイスペック女子」「起業女子」「理系女子」「帰国女子(帰国子女ではない)」の4つであるが、その象徴的な問題は「ハイスペック女子問題」であると思う。

「女性活躍推進」政策の重要な課題が「企業における女性管理職の増加」であるとすれば、高学歴・髙キャリアの「ハイスペック女子」はその重要な戦力となるはずである。しかし、現実にはハイスペック女子が社会で活躍できているかと言えばそうではない。そこには、ハイスペック女子特有の問題が存在している。

それは、ハイスペック女子はモテないという現実だ。特に、ハイスペックな美女はモテない。

これは男性からすると意外かもしれないが、企業で働く女性にこの話をすると、誰もが大きくうなずく話だ。

ハイスペックな美女が何故モテないかと言えば、男性が女性に求めるものが「三低」にあるからだ。つまり、自分より「低学歴」「低収入」「低身長」の女性ばかりを恋人や結婚相手にしたがる。特に女性が結婚相手に求める「三高」男性、つまりハイスペックな男子に、その傾向が強い。

したがって、ハイスペック男子を狙う女子は、低スペックであることを選ぶ。近年、早稲田や慶應の女子大生が、大企業の一般職に就職するのも、そのあたりの男子の志向性を理解しているからだ。実際、大手商社に勤めるある女子社員は「モテるのは一般職の女の子ばかり。総合職はまったくモテない」と嘆く。医師を目指す女子も、国公立の医大より私立の医大を選ぶという。その方が、男性医師の人気が高いからだという。わざわざ偏差値を落とした方が、男性医師と結婚できる確率が高まるというわけだ。

女性活躍推進については、産休・育休や保育所の話ばかりが議論されているが、当のハイスペック女子に言わせれば「モテなきゃ恋愛もできなくて結婚もできないし、子どもも産めない。産休とか育休とかまったく意味が無い」と恨みの声が聞こえてくる。

もちろん、どのような女性を恋愛や結婚の対象とするかは個人の価値観の問題だ。

しかし、それを「個人の趣味の問題」と片付けてしまうこともいかがなものかと思う。

「個人の趣味の問題」が、さまざまな偏見や差別の「言い訳」となってはダメなのだ。

たとえば、かつてのアメリカでは多くの白人は黒人に対して偏見を持っていたし、今でもイスラムの人たちに対して差別発言を繰り返す人物が大統領候補となっている。イスラムを嫌うことを「個人的な趣味の問題」として片付けてしまっては、国家の在り方自体がおかしなことになってしまうこともある。

高い学歴を持ち、仕事にも頑張っている優秀な女性を素敵だと思わない文化は、やはり変えるべきだ。

バブル世代のオヤジどもが若い頃には「ムリめの女」という言葉があった。

「今の自分ではとうていつきあってもらえそうもないような素敵な女性にも果敢にアタックすることで男を磨け」という文化がかつての日本にもあったのだ。それがいつの間にか、若い男性は楽につきあえる(自分よりも)低スペックな女性ばかりを求めるようになってしまった。男にとって「都合の良い」プロ彼女的な女性ばかりを求める。そんなことでは、男性もまた成長できるはずもないし、成長意欲が高くて頑張ってる女性を疎外することにもある。それで日本という社会が良くなるはずもない。

女性の活躍推進のためには、もちろん産休・育休制度の充実も、保育所問題の解決も、イクメンの増加も必要だが、その根底となる男性の女性に対する価値観を変えなければ、それこそ制度は整っても事態は何も変わらない。『見えない壁」を打破するためには、やはり文化を変えることが重要なのだ。

 

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竹井善昭

CSRコンサルタント、マーケティング・コンサルタント、メディア・プロデューサー。一般社団法人日本女子力推進事業団(ガール・パワー)プロデューサー。

ダイヤモンド・オンラインにて「社会貢献でメシを食うNEXT」連載中。
http://diamond.jp/category/s-social_consumer
◇著書◇「社会貢献でメシを食う」「ジャパニーズ・スピリッツの開国力」(共にダイヤモンド社)。 ◇翻訳書◇「最高の自分が見つかる授業」(Dr.ジョン・ディマティーニ著、フォレスト出版刊)

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